「関西シウマイ弁当」見参! 崎陽軒×姫路まねき 空前絶後の東西コラボ シウマイの味も関西風
「おかず」も似ているようでかなり違う!
●おかず
「おかずの寸法や配列は変えていませんが、地元食材を意識した材料選びや味付けで関西らしさを出しています」(まねき食品 岩本部長)
シウマイ以外のおかずも東西で似ているものの、唐揚げは姫路に程近いたつの市「ヒガシマル醤油」のあごだしを使用。玉子焼きもだしの風味が引き立ち、ふんわり柔らかい仕上げになっています。またタケノコも「シウマイ弁当」の角切りではなく、長さ2.5cmほどの繊維に沿った拍子切りに。かつ姫路駅名物「えきそば」のだしで煮込んでいます。食感だけでなく、しっかり染みた駅そばのだしを噛むほどに味わえるのは嬉しいところです。
他にも、マグロ照り焼きは「サバの幽庵焼き(柚子風味)」に、切り昆布と千切り生姜は「レンコン甘酢漬け・柴漬け」に、あんずは「黒花豆煮」に。関西シウマイ弁当の味付けは全体的にあっさりと、だしの香りもあり、シウマイ弁当と違った楽しみ方ができます。
なぜ作った? まねき食品のシンプルな動機
今回の異例コラボが実現した背景には、新型コロナウイルスによる、駅弁業者の全国的な売り上げの落ち込みがあります。まねき食品も例外ではなく、売り上げは前年の7割減という壊滅的な状況が続いたそうです。
そうしたなか、「美味しいもので人々を元気に」というとてもシンプルな動機で、同社は2020年3月に崎陽軒へコラボレーションを申し入れ、密かに商品の開発を進めていたとか。
なお、このコロナ禍の中でも、まねき食品は野外テントで「えきそば」や駅弁を販売するドライブスルーとイートインを本社に設置し、姫路の人々に商品を提供し続けました。今回の「関西シウマイ弁当」に並ぶ人々のなかには、駅の入場券を買って来る人も見られ、「また“まねき”が何か面白そうなことをやっている」だけで、いそいそと地域の人々が集まる様子に、100年以上この地で営業を続けてきた同社の強みを見た気がします。
まねき食品によると、今後は、関西シウマイ弁当の販売箇所や数量を徐々に増やしていきたいということです。また全国の駅弁フェアなどへの出店も期待されますが、この弁当は添加物などを使用していないため、消費期限は製造から7時間とかなり短め。配送可能な地域も限られていますが、将来的には、距離的に近い大阪のフェアなどへの出品も考えているそうです。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
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