BAEは海自「いずも」の先に何をもたらすか 英防衛関連大手の日本法人設立 その目論見

BAEが握る日本の「欲しいもの」

 そうしたノウハウやメリットの具体例としては、「作業の順序付け、リスク回避、経験移転、造船所のスタッフを含む統合されたプロジェクトチーム、設計を改善するための顧客側の変更点の取り込み、海上公試プログラムの簡略化などが挙げられます」(ドハーティ氏)といいます。

 少子高齢化にともなう今後、予想される海上自衛隊の人員不足を考えれば、艦艇の運用に関する省人化は非常に重要なポイントのひとつですし、さらに艦艇の建造に関するリスクや問題をあらかじめ回避することができれば、建造期間の短縮や費用の低減化を実現することもできるかもしれません。

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英空母「クイーン・エリザベス」。2021年10月に実施された日米英蘭加新共同訓練にて(画像:海上自衛隊)。

 現在、F-35Bを搭載する艦艇としては、アメリカ海軍もワスプ級およびアメリカ級強襲揚陸艦を運用していますが、より本格的なF-35Bの運用艦としてはクイーン・エリザベス級の方が理想的と考えられます。また、そのほかにも、航空自衛隊のF-2戦闘機の後継機計画に関する協力の可能性も噂されていることから、もしかすると、BAEシステムズは今後の日本の安全保障政策を大きく左右し得る存在かもしれません。

【了】

【説明会資料】艦載機から魚雷まで 英空母打撃群におけるBAEシステムズの貢献

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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コメント

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1件のコメント

  1. シーハリアーはもう退役してしまっていたのですね…