踏切が「降格」? 都電沿いの人通りも多い“元踏切”の謎 交通局に聞いてみた

東京都交通局に聞いてみた

 第4種踏切と非正規の勝手踏切を見分けるポイントは、傍らに立てられている踏切警標の有無です。踏切警標とは、「×」の形をした黄色と黒色の看板を指します。踏切警標があれば、それは正式な踏切ですが、この踏切に踏切警標はありません。しかし、以前は踏切警標が立てられており、「踏切」として扱われていたのです。

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かつての様子。第4種踏切だが、横断する人は多い(2005年6月、小川裕夫撮影)。

 東京都交通局によると、詳しい経緯は不明としながらも「第4種として使用してきた同踏切を通路という扱いに変更した」とのことでした。踏切警標がなくなった代わりに、列車の近接を知らせるスピーカーや方向表示器が新しく整備されたほか、路面には「電車優先」の文字が見えます。優先ということは、「歩行者は電車に配慮して渡ることが可能」と解釈できます。外形的・機能的な変化はほとんどありませんが、同踏切は第4種から格下げされたといえるでしょう。

 運行本数が少ない地方の路線を中心に、第4種は整備・管理コストの観点から依然多く残されています。ただし自動車が増え始めた昭和40年代後半から、第4種は第3種に、第3種は第1種にといった具合に切り替えられていきました。この踏切改良によって、踏切周辺で起きる事故は減少していったのです。

 人口の多い都心で「通路」として再出発した元第4種踏切は、人々の生活に密接した路面電車ということもあってか、方向表示器などの新設からも、安全面には最大限配慮されている印象です。

【了】

【写真】「通路」と化した都電荒川線の元踏切を見る

Writer: 小川裕夫(フリーランスライター・カメラマン)

フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。官邸で実施される首相会見には、唯一のフリーランスカメラマンとしても参加。著書『踏切天国』(秀和システム)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)、『東京王』(ぶんか社)、『私鉄特急の謎』(イースト新書Q)など。

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コメント

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4件のコメント

  1. 踏切でないということは、超短い併用軌道という扱いにしたんですかね。

  2. 私も地方出身者ですが、旧国鉄時代のローカル線はその手の踏切は結構ありましたね。

  3. 第4種踏切を無くせというお達しがあるものの、封鎖(廃止)はできないが3種若しくは1種化もしたくないということで、隣の踏切の飛び地ということにしたのではなかろうか。
    降格というより、統合なのかも。
    自動車と接触する可能性を下げるために歩行者通路を少々離れた場所にした、という建前で。

  4. 「軌道」が普通鉄道とは違うから、ではないのですかね。 

    某線のR電天神川駅では電車が近づくと歩行者用信号は赤になってしまう。線路さえ横断できないようにすればそこまでする必要は無さげだ。
    このせいで併用軌道の路面電車の停留場なのに次の電車までさらに10分待たなければならなかった。