真珠湾で米戦艦を沈めた“新兵器” でも実は間に合わせ? 意外なモノの転用で大戦果

太平洋戦争の幕開けとなった旧日本海軍の空母部隊によるハワイ真珠湾攻撃。このときアメリカ戦艦を沈めるのに用いられた新兵器のひとつが、九七式艦攻に搭載された800kg徹甲爆弾でした。この兵器、短期間で開発するため意外なものが転用されています。

奇襲とはいえど少なくなかった犠牲

 1941(昭和16)年12月8日0322時(日本時間)、攻撃隊の総指揮官である淵田美津夫中佐は、奇襲成功を告げる有名な無電略号のトラ信、いわゆる「トラ、トラ、トラ」を発信しました。そして彼が直接率いる赤城隊15機、加賀隊14機、蒼龍隊10機、飛龍隊10機の計49機から成る九七式艦攻の水平爆撃隊は、新兵器である九九式八〇番五号爆弾をパールハーバーに停泊するアメリカ戦艦群に対して投下します。

 投弾された49発のうち、11発から13発が命中したものと思われますが、九九式艦上爆撃機の急降下爆撃の命中弾との誤認もあって、正確な命中弾数はわかりません。しかし少なくとも同弾が、メモリアルとなって今もパールハーバーに眠る戦艦「アリゾナ」に致命傷を与えて沈没させたと考えられています。

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ハワイ真珠湾上空を飛ぶ九七式艦上攻撃機(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 なお、九七式艦攻水平爆撃隊は、49機全機が帰還しました。また、第2波攻撃隊として出撃した九七式艦攻54機も、陸上施設に対する水平爆撃を実施し全機が帰還しています。一方、魚雷攻撃を担った雷撃隊約40機のうち、空母「加賀」から出撃した第一次攻撃隊の5機が未帰還でした。ただ、真珠湾攻撃に参加した九七式艦攻全体で見ると、喪失はこの5機のみとなっています。

 ちなみにほかの機体を見てみると、第1波で零式艦上戦闘機(零戦)43機と九九式艦上爆撃機51機、第2波で零戦36機と九九式艦爆81機が出撃したので、両波合わせての全機数は354機。このなかで零戦は9機、九九式艦爆は15機が未帰還だったため、前述の九七式艦攻5機と合わせて計29機が失われました。

 パールハーバー攻撃は「九一式航空魚雷改2」と「九九式八〇番五号爆弾」という2つの有力な新兵器のおかげで得られた大勝利とはいえ、その陰には、やはり少なくない犠牲も伴っていたのです。

【了】

【写真】米戦艦の艦内で見つかった800kg徹甲爆弾ほか

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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