空母の「スキージャンプ」なぜ増えた? 艦載機の発艦装置 カタパルトより世界で拡大のワケ

現代空母のトレンドと呼べる設備のひとつ「スキージャンプ」は、滑走距離の限られる飛行甲板から航空機を発艦させることができる便利な仕掛けです。実は、アメリカとイギリス以外の国が空母を保有できるのも、これが登場したおかげでした。

スキージャンプとF-35Bの組み合わせ

 こうして、イギリス海軍は通常動力型空母でスキージャンプが有効なのを証明しました。これに着目したのが旧ソ連でした。1990(平成2)年に就役した「アドミラル・グズネツォフ」はスキージャンプを装備し、通常の艦載機を発艦させました。これをきっかけに空母を保有する国が増えていきます。

 現在ではアメリカ以外で、インドやイタリアなど7か国の空母と強襲揚陸艦にスキージャンプが採用されています。

 シーハリアー以来となる垂直離着陸の実用機であるF-35Bは現在、空母を保有するアメリカの同盟国に配備が進んでいます。イギリスの新鋭空母「クイーン・エリザベス」は全長284m、排水量6万4000トンの大型空母ですが、F-35Bを搭載し、カタパルトの代わりにスキージャンプを採用しました。

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イギリス海軍の「シーハリアー」戦闘機(画像:アメリカ海軍)。

 現在F-35Bは、スキージャンプを備えた空母だけでなく、平坦な飛行甲板の強襲揚陸艦でも使用されています。これは、スキージャンプのメリットは承知しながらも、保有する艦種と各国の戦術によって使い分けているということです。

 日本では「いずも」型護衛艦を改修してF-35Bを運用するのですが、船体の大幅な改造が必要なスキージャンプは取り入れられません。これと同様に、アメリカはスキージャンプのない強襲揚陸艦でF-35Bを運用しており、予算と改修期間の問題から艦首の形状を台形から四角に変更するにとどめています。日本がスキージャンプを採用するなら将来の新造空母になるでしょう。

 なお、中国が自国で建造した最初の空母「山東」はスキージャンプ式で、後継艦は原子力空母や電磁カタパルトの採用が噂されていますが、運用実績の積み重ねが必要なため実用化には時間がかかると見られます。

 建造と維持に莫大なコストのかかる空母を保有するのは国家にとって大きな負担であり、アメリカ海軍のように原子力空母にカタパルトを装備する、といったことはさらに容易ではりません。各国の海軍にとってカタパルトよりも導入が容易なスキージャンプは、ますます重宝なものとなっていくのではないでしょうか。

【了】

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Writer:

軍事雑誌や書籍の編集。日本海軍、欧米海軍の艦艇や軍用機、戦史の記事を執筆するとともに、ニュートン・ミリタリーシリーズで、アメリカ空軍戦闘機。F-22ラプター、F-35ライトニングⅡの翻訳本がある。

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コメント

1件のコメント

  1. カタパルトがないと

    戦闘機は自力でフルパワーで滑走しなければならない

    短い空母で揚力を得るには

    F35Bみたいに斜め下にエンジンがなり

    フワっと浮き上がる

    だかから短い「強襲揚陸艦」から発艦出き

    更に、垂直に着陸出来る

    ロシアやロシアのパクり中国は

    専用の戦闘機がないので

    フルパワーで滑走して空母の先端が斜め上で極力

    揚力得やすいように発艦する

    着艦はアレステングワイヤーを使う