旧日本陸軍が愛用した船「ダイハツ」って? 世界初の近代的上陸用舟艇が生まれたワケ

小型の船が海岸に直接乗り上げて船首を開き、兵士たちが飛び出してくる――映画でもよく見るシーンですが、この「上陸用舟艇」を世界で最初に生み出したのは旧日本陸軍でした。誕生の経緯と発展をひも解きます。

A→B→Cと発展、戦車も搭載可能に

 旧日本陸軍は当初、ひとつのフネを原型とし、そこからバリエーション展開することで上陸作戦に必要な諸々の用件に対処できると考えていたようです。しかし市原健蔵技師を中心とする陸軍運輸部の技術開発セクションは、これに反対。おおむね4つからなる上陸作戦用の船艇を提案し設計しました。

 内訳は、小型で兵員30名ほどが載せられる「小型発動艇(小発)」、上陸作戦時に偵察や連絡に用いる「高速艇(甲と乙)」、味方の上陸を至近から支援するため小型の砲と機関銃を備えた「装甲艇」、そして小発よりも積載力に優れた「大発動艇(大発)」です。大発は、兵員60名または馬、もしくは野砲や山砲など、さらに物資12tを搭載することが可能とされていました。

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大発の側面・前面図(樋口隆晴作画)。

 大発は1925年の試作型(A型)を経て、1927(昭和2) 年にB型が製造されるようになりましたが、このB型こそ、艇(船)首を開き、それを歩板(道板)にした、現代に続く上陸用舟艇の原型となったものです。また海岸近くの浅い海面で行動したさいに、スクリューが損傷するのをふせぐため、通常のプロペラ型ではなく、螺旋状のいわゆるスパイラル型に形状を改めていたのも特徴でした(一部の艇は通常型)。

 このあと、同年製造のC型では、艇首底面の肋材を2本として、上陸時、とくに重量物や火砲をおろす際の安定性を高めています。このアイデアも市原技師によるもので、C型は正面から見るとW字型に見えるのが特徴となっています。

 さらに1932(昭和7)年には、戦車(八九式中戦車)を積載・揚陸できるように各部が強化されたC型が誕生、こうして大発は兵器として完成の域に達しました。

【写真】大発で使われたスパイラル・スクリューとは?

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コメント

1件のコメント

  1. 今から50年ほど昔、沖縄がまだ返還されていないころに、大学の友人たちと日本最南端であった鹿児島県与論島へ行った時のことを思い出します。鹿児島から奄美諸島を南下した貨客船から上陸するときに、潮汐の関係で沖合からこの上陸用舟艇に乗り換えて上陸したことを思い出しました。この時の上陸用舟艇はアメリカ背のものだったように思いますが、その頃は払い下げられたものが民間でも使われていたのでしょう。

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