旧日本陸軍が愛用した船「ダイハツ」って? 世界初の近代的上陸用舟艇が生まれたワケ

小型の船が海岸に直接乗り上げて船首を開き、兵士たちが飛び出してくる――映画でもよく見るシーンですが、この「上陸用舟艇」を世界で最初に生み出したのは旧日本陸軍でした。誕生の経緯と発展をひも解きます。

海軍も使って5000隻以上生産

 大発のデビューは、1932(昭和7)年の第一次上海事変にともなう、七了口上陸作戦からでした。この上陸作戦は、もっとも成功した最初の近代的上陸作戦と評価されています。その後、八九式中戦車よりも重い九七式中戦車が登場したことから、同戦車を搭載できるように大型化した「特大発」も製造されました。

 大発に代表される各種の上陸用舟艇は、太平洋戦争では各地の上陸作戦で使用され、それなりの貨物を積めることや取り回しの良さなどから、荷揚げ施設の貧弱な港湾や局地における短距離輸送、さらには不得手とはいえ小型火砲を搭載しての対魚雷艇戦闘(武装大発と呼ばれた)など、上陸作戦以外にもさまざまなシーンで使用されています。なお、旧日本海軍もその使い勝手の良さから、「十四米特型運貨船」という名称で使用しました。

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貨物を積んで航送する大発。喫水が深くなっているので満載状態だと思われる。大発は近距離の輸送にも使用された(画像:アメリカ海軍)。

 大発は、太平洋の半分まで戦場が広がった状況で、あらゆる戦域で使用されたことで、日本軍の将兵には馴染みの深い船となりました。こうして幅広く使われた大発は、5500隻余りも生産されています。

 一般にオリジナリティーがないと言われている日本の兵器ですが、大発は真の意味でオリジナルな兵器だったと言えるでしょう。

【了】

【写真】大発で使われたスパイラル・スクリューとは?

Writer:

1966年東京生まれ、戦車専門誌『月刊PANZER』編集部員を経てフリーに。主な著書に『戦闘戦史』(作品社)、『武器と甲冑』(渡辺信吾と共著。ワンパブリッシング)など。他多数のムック等の企画プランニングも。

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コメント

1件のコメント

  1. 今から50年ほど昔、沖縄がまだ返還されていないころに、大学の友人たちと日本最南端であった鹿児島県与論島へ行った時のことを思い出します。鹿児島から奄美諸島を南下した貨客船から上陸するときに、潮汐の関係で沖合からこの上陸用舟艇に乗り換えて上陸したことを思い出しました。この時の上陸用舟艇はアメリカ背のものだったように思いますが、その頃は払い下げられたものが民間でも使われていたのでしょう。

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