次期戦闘機は超エコな「空飛ぶ発電所」!? 日英共同のエンジン開発が正式決定 その全貌

次期戦闘機エンジン3つの「要」とは

 英ロールス・ロイスで事業開発・フューチャープログラム担当エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるアレクサンダー・ジノ氏は、2019年11月に幕張メッセで開催された防衛総合イベント「DSEI JAPAN 2019」で行われたメディア懇談会で、将来の戦闘機用エンジンの開発について、次のように説明しています。

 ジノ氏は、エンジンのコア部分を極力小さくすること、エンジン運転時に発する熱を効率的に制御できること、電力を十分に供給できることの3点を挙げた上で、同社が開発に参画しているテンペストのエンジンは、強力なレーダーや高エネルギー兵器などの搭載を見込んで、「空飛ぶ発電所(Powerstation in the sky)」になるとの認識を示しています。

Large 220111 jiki 03
日本の次期戦闘機F-Xのイメージ(画像:防衛省)。

 IHIが次世代戦闘機への搭載を想定し試作したXF9エンジンは、大出力とスリム化の両立を狙ったものでした。新たに開発された国産材料技術の投入により熱効率制御の面でも高いレベルに達しているほか、電力に関しても新開発のスタータジェネレーターの採用により、180kWという大きな発電容量を実現しています。つまりXF9はロールス・ロイスの考える将来の戦闘機用エンジンの理想に近く、それをイギリスが高く評価したことも、今回のエンジン技術実証機の共同開発につながったのではないかと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

 また、将来の軍用機のエンジンは環境にも配慮する必要があります。ロールス・ロイスは防衛・民間の両部門で脱炭素化に多額の投資を行っており、同社のジノ氏は次期戦闘機のエンジン実証機の開発にあたって、「よりクリーンな次世代動力を促進する技術を提供します」と述べています。次期戦闘機とテンペストのエンジンが共通化された場合、次期戦闘機には「大推力で発電量が大きく、かつ環境に優しい」エンジンが搭載されることになるのかもしれません。

【了】

【日本の次期戦闘機と共通に?】英次世代機「テンペスト」のエンジン&各種機能を画像で見る

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。