道路になっていた「JR肥薩線」 鉄道信号の下を走るトラック 豪雨災害から復旧への遠い道のり

2020年7月の豪雨被害から運休が続くJR肥薩線では、被災した線路のうち数か所が仮設道路に改修されています。人吉で接続するくま川鉄道が部分復旧を果たした後も、なかなか今後が見通せない肥薩線の現状を見てみましょう。

復旧してもそこに集落はない?

 さらに、八代~人吉間では、堤防を川のより外側に作る「引堤」と呼ばれるような治水対策も検討され、多くの利用客で賑わっていた八代市坂本地区などの集落の高台移転も進行中です。もともとの場所に肥薩線を復旧してもそこに集落はなく、年間300万人の観光客の呼び水として機能していた観光列車も、渓谷美の車窓が大きく変わることで、そのあり方が変わってくるでしょう。

 もともと観光列車以外の日常利用は少なく、現在の代行輸送も一部区間(人吉~一勝地、八代~坂本)を1日3往復のタクシー代行でカバーできています。この現状は、復旧を果たした豊肥線、くま川鉄道より厳しいと言わざるを得ません。

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白石駅の駅舎は地元有志によって丁寧に清掃されている(宮武和多哉撮影)。

 肥薩線の“川線”沿線では鉄道は運休、国道219号も通行に大きな制約がかかっていることもあり、2022年1月現在では九州道 八代IC~人吉IC間の通行料を無料とする措置がとられています。しかし、この高速道路は鉄道・国道とは30km以上離れたルートをたどり、途中のICもありません。人吉~八代間の通学に関わる高速バスの費用が約5倍になっている(通学定期の設定がない)という問題はありますが、2都市間の移動だけで見れば、当面カバーできていると言っていいでしょう。

 しかし肥薩線・国道219号周辺の4自治体にとっては、通学・通院などの日常利用に支障をきたし、路線バス網も10年ほど前に大幅に縮小しているため、まず隣町への身近な移動ができる道路の啓開・復旧が急がれています。平行道路はひと目見てわかるほど路肩の損傷が激しく、通行可能な道路幅が狭くなり、ワゴン車の走行にも支障をきたす場所も多々見られます。

 肥薩線の路盤を活用した仮設道路は、八代~人吉間で今後さらに整備される見込みです。この後も同様の動きが続くのではないでしょうか。

【了】

【「災害に強い道路をつくっています」←そこは線路】肥薩線の地図と現在の状況 画像で見る

Writer:

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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  1. そのままなし崩し的にBRTになりそう

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