仕事は「敵になること」陸自のオニ集団「評価支援隊」さらに強化中 今後は野戦砲も?

敵役は服装も違う

 彼らが訓練時に着用する専用の迷彩服は「評価支援隊用迷彩服」と呼ばれる独特なものです。陸上自衛隊でも評価支援隊の隊員しか用いない、いわばオリジナル迷彩服で、全国で見られる陸上自衛隊の迷彩服とは異なる色調のものになっています。

 また異なる迷彩は車両にも施されていて、一般部隊の戦闘車両の迷彩が茶色と緑色の2色なのに対して、評価支援隊は黒色が追加された3色迷彩となっています。イメージとしては、陸上自衛隊のヘリコプターの迷彩パターンに近い感じです。

 このように隊員の迷彩服、そして車両の迷彩塗装を、あえて自衛隊の標準と変えることで、見ただけで対抗部隊(敵部隊)であると認識できるようにしています。

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滝ヶ原駐屯地の記念行事でオリジナルの迷彩服を着て整列した評価支援隊の隊員。弾帯(ベルト)やサスペンダー、半長靴(ブーツ)などは一般部隊と同じものを使用している(武若雅哉撮影)。

 評価支援隊は隊長を筆頭に、隊本部、第1普通科中隊、第2普通科中隊、戦車中隊、施設中隊、指揮観測班が編成されています。第1と第2という、ふたつある普通科中隊がいわば敵の歩兵部隊役、そして戦車中隊がひとつと、施設中隊、すなわち工兵中隊がひとつ編成されているので、これで小さなコンバットチーム、陸上自衛隊でいうところの「戦闘団」というのに近い編成となっているのがわかります。

 ただ、ここでひとつ疑問が。それは特科、すなわち他国でいうところの砲兵役がない点です。この砲兵に代わるのが、編成の特徴ともいえる「指揮観測班」です。

 野戦用の大型火砲は射程が長大なため、北富士演習場の大きさの制限から実際に配置することはできません。とはいえ、現代戦の性格上、必須であるため、「指揮観測班」がいわゆる「砲兵」となって特科火力の要求を受け、砲弾落下の状況を付与するようになっています。

 模擬的に砲弾が落下し、指揮所の表示板や現場の隊員が携行するインジケーターなどに砲撃によってどれぐらいの被害が出たかを表示すればよいだけなので、砲兵のなかでも必要最低限のエッセンスである、「指揮」と「観測」だけが用意されているのです。

【写真】今はなき評価支援隊の74式戦車ほか

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コメント

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1件のコメント

  1. 陸自のエリート中のエリート部隊か