仕事は「敵になること」陸自のオニ集団「評価支援隊」さらに強化中 今後は野戦砲も?

自らのレベルアップも必須

 前出のように、評価支援隊は2002(平成14)年3月に新編されて以降、ホームグラウンドといえる北富士演習場内のFTC地区に全国の陸上自衛隊部隊を招いて圧倒的な強さを誇示してきました。

 味方部隊を鍛えるための敵役なので、強いに越したことはないものの、逆にいうと日本人同士の戦いしか経験したことのない、いうなれば「井の中の蛙」になってしまう恐れがありました。そこで、発足から10年余りが経過した2014(平成26)年に、評価支援隊は初の海外遠征を行っています。

 向かったのは、アメリカ西海岸のカリフォルニア州にある、同国陸軍最大の訓練施設「ナショナル・トレーニングセンター」です。このときの訓練では、日米相互の部隊運用を向上させることと、アメリカ軍の訓練評価体制の視察がおもな目的でした。ここで、アメリカ軍が実際に行っている実戦的な訓練を体験することで、評価支援隊はよりリアルな訓練を自衛隊の部隊に提供できるようになったのです。

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評価支援隊特有の迷彩パターンになっている96式装輪装甲車(武若雅哉撮影)。

 現在、聞くところによると評価支援隊の上級部隊である部隊訓練評価隊は、北富士演習場のみならず東富士演習場でも訓練できるようにしているといわれています。この話が実現した場合、評価支援隊は実際に野戦砲(特科火砲)を装備したり、いままではなかった後方支援部隊を新たに編成したりする必要が出てくるでしょう。

 そうなると、従来までは、いわゆる機械化大隊レベルの編成であったのが、さらに大きな増強機械化連隊という規模にまで生まれ変わる可能性を秘めているのです。

【了】

【写真】今はなき評価支援隊の74式戦車ほか

Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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1件のコメント

  1. 陸自のエリート中のエリート部隊か