『紅の豚』の彼も操った名機! アドリア海を舞ったイタリア戦闘飛行艇「マッキM.5」

第1次大戦で国産戦闘機の開発に出遅れたイタリア。同国海軍は鹵獲した敵機を研究・開発して独自の戦闘飛行艇を生み出し配備し、敵機とアドリア海周辺で空中戦を行いました。映画『紅の豚』にも登場した“名機”を追います。

1人乗り戦闘飛行艇の要望と開発

 当初は、優れた汎用性を買われて200機余り生産されたM.3飛行艇でしたが、大戦中頃には敵海軍の飛行艇を迎撃するための1人乗り戦闘飛行艇の要望が高まり、その開発が始まります。1917(大正6)年に、カルロ・フェリーチェ・ブンゾとルイージ・カルツァヴァラの技士ふたりによりM.3型を参考にした単座の飛行艇M型が設計され、ニューポール・マッキ社で試作されます。そして様々な改修を経て、同年夏にはM.5戦闘飛行艇として完成しました。

 機体の動力はM.3型と同じ出力160馬力のイソッタ・フラスキーニV4Bエンジン(160馬力)を、やはりプッシャー(推進)式と呼ばれるプロペラが後ろ向きについた形を採用していました。

 M.5型はひとり乗りのいわゆる単座構造としたことで、空虚重量はM3型から180kg減った720kgとなり、最高速度は189km/hに向上。また、フロートを兼ねた機体の前方には、固定武装として2挺の7.7mmヴィッカース機関銃あるいは6.5mmフィアットM14航空機関銃が搭載され、単純に攻撃力も2倍に向上していました。

 なおM.5型は約200機製造されましたが、そのうち17機は、のちに出力が250馬力に向上した新型V6エンジンに換装されています。

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1918年春、イタリア海軍航空隊第261飛行隊所属のピエロッツィ大尉が搭乗したマッキM.5戦闘飛行艇。機体には、敵機をくわえて振り回す猟犬の個人マークが描かれている(吉川和篤作画)。

 M.5型は1917(大正6)年11月よりイタリア海軍飛行隊への配備が始まりますが、1年を経ずして1918(大正7)年9月には装備する飛行隊が14個にまで増えました。そしてヴェネチアやナポリ、ブリンディシの基地から出撃して、敵であるオーストリア・ハンガリー二重帝国軍のローナーやハンザ・ブランデンブルグといった飛行艇を相手にアドリア海上空で死闘を演じ、終戦までに5機以上を撃墜した3人の「アッソ」(イタリア語でエース)を輩出しています。

【写真】マッキM.5の原型 2人乗りのM.3飛行艇を見る

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