日本初 工場送迎バスに“一般人どうぞ” 路線バス補う奥の手に? 湖西市の実験「BaaS」

「乗りものの提供」だけじゃない湖西市の工夫

「BaaS」の各路線は、午前中の9時台~11時台など、コーちゃんバスの路線を補完するように設定されています。また企業とっても、昼間の利用は少なく、バスの有効活用が課題となっていました。バスを増発する余裕がない自治体、送迎バスというリソースが空いている市内の企業、通院などの用事に乗車するバスがない地域の人々、この3つの課題を一挙に解決しようとしたのです。

 実証実験は2020年から断続的に続けられており、沿線の医療機関や薬局、スーパーと提携した健康相談や割引券配布なども行われ、利用のきっかけ作りにもなっているそうです。各地域の町内会では高齢者どうしで利用を呼びかけ、「BaaSで出かけてスーパーや郵便局に寄ったあと、近くの喫茶店で一息ついて、帰りは『コーちゃんバス」で、といった使い方の発見にも一役買っているといいます。

 全国的に、高齢者のあいだでは「何十年とバス乗ったことがない」人も多く、バス事業者が「乗り方教室」を開催する例もあります。そうしたなか湖西市では、近所の口コミで自然に「ちょっと使ってみようか」という流れが広がっているように見えました。

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「コーちゃんバス」の車両(宮武和多哉撮影)。

 ただ「BaaS」の本分はあくまでも送迎バスで、企業の関係者が優先です。そのため朝晩などの運行は難しく、実証実験はあくまでも「コーちゃんバス」を補完する役割として続きそうです。また過去に例がない運行形態であるがゆえに、積み上げなくてはいけないノウハウも多く、有事の保険対応をあいおいニッセイ同和損害保険が研究し、豊橋科学技術大学が利用に関するデータ作成を行うなど、まだまだ発展途上の段階にあるといえるでしょう。

 ちなみに、送迎バスのドライバーも高齢の方が多く、配車システムのアプリ操作に戸惑うなどの問題もあったそう。そこは「紙ベースで翌日の予定をプリントアウト」というアナログな方法で解決をみたそうです。最新技術にこだわらない、現地にあった運用システムのすり合わせも行われています。

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コメント

4件のコメント

  1. 「社員の通勤のために企業が仕立てた送迎バスは、法律上の枠組みでは「特定旅客自動車運送事業(特定輸送)」にあたります。路線バス車両を使用していても、基本的に関係者以外の乗車はできず、ナンバープレートも自家用の“白”です。」とありますが、少々異なります。
    「社員の通勤のために企業が仕立てた送迎バスで、運送事業者に車両・運転を外注するもの」が特定輸送であり、これは事業運送なので緑ナンバーです。
    では白ナンバーの送迎バスはなにかというと、これは特定輸送ではなく、ただの自家用車です。道路運送法は自家用と、他者を有償で運ぶ営業用とを、車の持ち主を目印にして区分しますので、車の持ち主が送迎を実施する企業自身であればこれは自家用です。なお、この場合でも運転手を運送事業者に委託することは、運送事業ではなくドライバーの派遣になり、やはり扱いは変わりません。

    • ご指摘ありがとうございます。記事を修正いたしました。

  2. 豊橋科学技術大学ではなく、豊橋科学技術大学院大学です

    • すいません豊橋技術科学大学ですね