チェコの戦車いいじゃん! スイスが欲した「ヘッツァー」派生の駆逐戦車G-13 何がよかった?

イベントやスクリーンで“戦っている”G-13

 スイス向けの「ヘッツァー」にはG-13の型式番号が付与され、1946(昭和21)年早春には試作車が完成。以降、約160両が生産されて1950(昭和25)年までに納入されました。

 旧ドイツの「ヘッツァー」とG-13の最大の相違点は、チェコでは「ヘッツァー」が装備した48口径7.5cm砲「PaK39」が生産されていなかったため、代わりにIII号突撃砲用の48口径7.5cm砲「StuK40」が搭載されたことです。

 また、外観では、砲の後座力を減らすべく砲口にマズルブレーキが装着されたほか、脆弱な側面の装甲を少しでも補えるよう、車体側面に予備の履帯と転輪が載せられているのが特徴です。

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イギリスのボービントン戦車博物館のイベントでグラウンドを走り回る駆逐戦車「ヘッツァー」(画像:柘植優介撮影)。

 かくしてスイスが採用した「第2次大戦の忘れ形見」ともいえるG-13は、「ヘッツァー」と異なりアルプスの麓の永世中立国で戦火を経験することなく現役を退きました。

 なお、退役後に民間へ放出された本車の一部は、愛好家や展示施設において戦時中の「ヘッツァー」に変身させられているほか、なかには『コレリ大尉のマンドリン』や『合衆国最後の日』といった映画に「出演」し、第2次世界大戦ばかりか近未来の戦闘まで経験したものもあります。

 G-13は、イベントやスクリーンのなかでは「ヘッツァー」の代わりに、最前線で戦っているようです。

【了】

【写真】駆逐戦車「ヘッツァー」&G-13をいろんなアングルから

Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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