「除雪機をどんどん走らせれば済むだろ」 そうもいかない運休事情 JR北海道の大雪対策

大動脈から手を付けていく

「札幌圏で使用する主な車両の基地が手稲(稲穂)にあるため、手稲~札幌間の開通を最優先で行います。札幌~南千歳間は道南・道東など各方面へ向かう列車が重なって運行される区間であり、影響が多方面に及ぶことになるため、復旧作業を優先的に行う必要があると考えています。除雪に使用する機械、人力、運用する車両には限りがあるため、上記の理由から、優先順位を付けて作業にあたることとしました」

 もちろん、日頃から降雪対策は講じられています。

 鉄道は特に、線路の切替えができなくなると、列車の運行に大きな影響を及ぼします。JR北海道はポイントなど線路の切替え部分に融雪器を設置したり、降雪が多く見込まれる日は切替え頻度を落とすために到着・発車番線を変更したりするほか、そもそもの運行本数を減らすなどの工夫をしています。

 2月10日(木)16時時点で、札幌近郊路線では特急列車が全て運休しているほか、学園都市線で一部運休、そのほかの路線も5割程度の本数となっています。線区ごとに除雪作業を進めるものの、運行に使用する列車がまだ車両基地に戻りきっておらず、また、全ての線路を有効に使える状況も整っていないためです。JR北海道は「ご利用のお客様にはご迷惑をおかけいたします。心よりお詫び申し上げます」としています。

 なお、北海道の鈴木直道知事は、一連の除雪作業をねぎらいつつ「JR北海道におかれては、安全運行に万全を期するとともに、公共交通機関としての責務を十分に果たされることをお願いいたします」とコメントを発表しています。

 ちなみに東京などの都市部では、札幌より少ない降雪でも鉄道網がマヒすることがあります。これは雪に慣れていない点もさることながら、雪国と比べて鉄道設備が耐雪仕様になっていない点も挙げられます。一冬に2,3回あるかどうかの大雪に、平常時のメンテナンスコストもかけて対策することは非現実的なのです。

【了】

【ゴッツい!】JR北海道の最新型ラッセル車

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. この間、道路交通は全面中断などはしていなかったのでしょうね…

  2. 方々がコストカットしろと言い続けてきた結果が復旧の遅さに繋がったんだから被害を被った人は自業自得。
    JR北も「除雪するコストより運休するコストが下回るので雪融けまで全面運休します」くらい言っちゃっていい。

  3. 車籍のない保守用車だから線閉取って作業するから除雪機でいい……のか?記事タイトル