旅客機500機「借りパク」へ! 経済制裁受けロシアがリース機返還拒否…どうするの?

機体はあるけれど…ロシア国内エアラインが背負い込むリスク

 また部品だけではありません。機体の運航や整備マニュアルは、常に最新の状態のものを参照しそれに従わなくてはなりませんが、マニュアルも更新されなくなる結果、安全性に大きな影響を与えてしまう可能性も存在します。

 ロシアはソ連時代から航空機産業に強く、国産旅客機「スホーイスーパージェット」といった新鋭機もありますが、そのエンジンは外国製であるなど、もはや国内で完結することが困難になっています。兵器と航空機以外、外貨を稼げる産業は天然資源しかなかったロシアですから、この問題は航空機そのものだけにとどまらず、ありとあらゆる機械すべてにおいて発生することは想像に難くないところです。

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アエロフロートのボーイング777-300ER(画像:Sidowpknbkhihj、CC BY-SA 3.0〈https://bit.ly/3HEN0Zs〉、via Wikimedia Commons)。

 1日もはやく戦争が終結することを願って止みませんが、もはやロシアは取り返しのつかない一線を越えてしまいました。どのようなかたちで戦争が終結したとしても、今後ロシアに航空機を貸したいと思う投資家はいないでしょう。

 すでにロシアは自国領空内における、EU加盟国やイギリスなどの航空機を飛行禁止にしており、我々の生活にも無視できない影響が出ていますが、まるでソ連時代に戻ってしまったロシアで暮らす国民は、さらに計り知れないほど大きな不便を強いられることになるでしょう。

【了】

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Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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