ウクライナの「泥濘地獄」に攻めたロシア なぜ? 知らぬはずはない“肥沃な大地の罠”

ロシアのウクライナ侵攻から1か月あまり。3月になり気温の上昇で大地の泥濘化が進んでいるようです。これに悩まされているのがロシア軍。過去にはソ連に攻め込んだドイツを悩ました「泥将軍」について見てみます。

悪路に強い戦車ですらハマる泥濘地獄

 履帯、いわゆるクローラー駆動の装軌式車両が本格的かつ大量に用いられた第2次世界大戦において、旧ソ連に侵攻したドイツ軍は、モスクワを目指す途中で晩秋のロシア名物「泥濘地獄」に襲われ、その後、わずかな期間の泥濘の凍結期を経て、今度は「冬将軍」の第二撃をくらいました。

 このダブルパンチに苦しんだドイツ軍でしたが、さらに続いた雪と寒さに強いソ連軍の反撃にやられて敗退。おまけに翌年初春の泥濘で、またしても補給困難に陥りました。この時、もしドイツ軍が1941(昭和16)年6月ではなく、「泥濘地獄」終結直後である2か月前の4月に旧ソ連へ侵攻していればモスクワを占領できたのでは、と考える史家も少なくないようです。

Large 20220327 01
ウクライナ領内に遺棄されたロシア軍の「ティグラ(タイガー)」装輪装甲車(画像:ウクライナ軍参謀本部)。

 それから約80年、現代の装輪式や装軌式の車両は、当時と比べて車重とエンジン出力のバランス(出力重量比)が劇的に改善されています。しかしそれでも、車輪や車軸を大きくのみ込み、履帯なら沈み込ませると同時に機動輪、誘導輪、転輪の隙間にネットリと入り込む泥濘は、やはり車両の行動を麻痺させます。

 これまた80年ほど前と比べれば、ロシアやウクライナの道路事情も大きく改善されていることでしょう。しかし、いったん道路を外れたフィールドの状況は、当時とさほど変わっていないのではないでしょうか。おまけに、平野が続き、かつては「ヨーロッパの穀倉」とも称された農耕に適したウクライナの柔らかな土壌は、多量の水を含むと泥濘化しやすいことは今も昔も同じです。

【亀の子になっちゃった戦車も】ウクライナに乗り捨てられたロシア軍戦闘車両たち

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  3. 海自潜水艦 アメリカ海軍の“歴戦の揚陸艦”を標的に魚雷発射! 実弾演習で巨大な水柱があがる瞬間を公開
  4. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  5. バス運転士「辞めないで」 東京都が“給与の手当”を10年間補助! 独自の定着支援で「路線廃止」を防ぐ
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開