ウクライナの「泥濘地獄」に攻めたロシア なぜ? 知らぬはずはない“肥沃な大地の罠”

ロシアはなぜこの時期に攻め込んだのか?

 ロシアは、ロシアとウクライナにおけるこれらの事情を知り過ぎるほど知っていたはず。それなのに、なぜ2月24日という「泥濘地獄」到来まであまり時間のない時期にウクライナへの侵攻を開始したのでしょうか?

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ウクライナ領内に遺棄されたロシア軍のBMD-4歩兵戦闘車(画像:ウクライナ軍参謀本部)。

 推察されるその理由は、晩秋の泥濘を避けて、大地が凍結している冬期に大演習を行うという名目でウクライナ国境地帯に大兵力を展開させざるを得なかったこと。それに加えて、2014(平成26)年のクリミア紛争のときと同様に、ウクライナ平定などごく短期間でかたが付くという考えに基づき、奇襲効果も考慮してウクライナ側が「まさか」と思う時期に攻め込めばいいという、ロシア側の大誤算もあったと思われます。さらには、世界的な平和の祭典たる北京五輪の開催期間を避けるという配慮も働いた可能性もあるでしょう。

 かような次第で、泥濘は攻める側にとってはまさに「地獄」ですが、守る側にとっては、逆に「天恵」にもなり得るもの。今年は例年と比べて、現地では雪解けが早いと言われています。

「泥濘地獄」は、善戦を続けるウクライナ軍にとって強い味方になっているようです。

【了】

【亀の子になっちゃった戦車も】ウクライナに乗り捨てられたロシア軍戦闘車両たち

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Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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