鉄道あったっけ? 与論島「ヨロン駅」の謎 ポツンと置かれた車輪は国鉄贈呈のホンモノ

鹿児島県の与論島に「ヨロン駅」が存在します。駅名標だけでなく線路と車輪が置かれていますが、島内に鉄道はないはず。なぜ「駅」がつくられたのでしょうか。

「ヨロン駅」は1979年に設置

 鹿児島県の最南端に位置する与論島。島の西側には与論空港がありますが、空港から徒歩5分ほどの場所に駅が設けられています。それが「ヨロン駅」です。

「ヨロン駅」は駅名標のほかに、長さ5mほどの線路と車輪がひとつ置かれています。ホームを模した屋根付きのベンチや、枕木のように地面へ木が埋められた箇所も。

 しかし、与論島には鉄道が走っていません。なぜ駅が作られたのでしょうか。そもそも、「駅」なのでしょうか。

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「ヨロン駅」の駅名標(2022年、伊藤真悟撮影)。

「ヨロン駅」は1969(昭和44)年に与論島が「周遊指定地」に含まれてから10周年を記念して設置されたものです。「周遊指定地」とは、国鉄が1955(昭和30)年に一般周遊券(普通周遊乗車券)を発売する際に指定した観光地。当初、与論島は「周遊指定地」には指定されていませんでした。

 一般周遊券は、国鉄の鉄道、航路の乗車船区間が100kmを超えること(のちに200kmを超えることに変更)、国鉄線または指定区間の航空会社を利用して周遊指定地を2か所以上旅行すること、始発駅と終着駅が東京23区内を含む同一市町村であることなどを発売の条件に、運賃が1割引(国鉄線と連絡船はのちに2割引)となるものでした。

「ワイド周遊券」「ミニ周遊券」などのように、はじめから周遊エリアが決められたものもありましたが、一般周遊券は自分で行程を組むことができるオーダーメイドの周遊券だったのです。しかし、旅行会社でしか発券できないことなどからあまり浸透はせず、1998(平成10)年4月1日に周遊券が「周遊きっぷ」に改められたことから一般周遊券は姿を消しています。

【写真】「ヨロン駅」の構内をサッと見る

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