大阪メトロvsウィラー「デマンドバス」のガチ対決! 使ってわかった違い 課題は山積

「誰でも使える」まであと一歩!見えてきた課題

 大阪市内に限らずデマンドバスが抱える課題として、まず予約の難易度があげられます。専用アプリを操作しての予約が難しい高齢者などのため、電話予約も受け付けられていますが、現地に精通しているわけではないオペレーターが、「◯◯から◯◯まで行きたい」というオーダーに手間取っている様子も感じられました。

 現地状況に精通していないのはアプリも同様です。地図上で車両が近づき、「あと2分で到着します」との通知がきても、実際にはそのあいだに塀などがあって、車両は大きく迂回しなければならない、ということもあります。

 またバスやタクシーと違い、到着時間もあくまで目安と思って、遅れることを想定したほうがよさそうです。というのも、走行中に近くで予約が入ると迂回するため、予約時にアプリで示された目安時間から遅れることがあります。またAIが示すルートも、もともとタクシーを運転しているドライバーからすれば「え、そっち?」と驚くようなルートが多いそうで、「かなり改善の余地がある」と口を揃えていたのが印象的でした。

 2022年4月現在、両社のサービスとも運用に就くのが2~5台と少なく、予約の取りづらさからお詫びのメールがくるような状況が続いています。今後さらに利用者が増加する前に改善してほしいところです。

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mobiの車両。既存のジャンボタクシーを使用している(宮武和多哉撮影)。

 とはいえ、アプリの操作自体は慣れると使いやすく、1回300円という料金での移動はとても魅力的。またプロのタクシードライバーが担うだけあって、走行の快適さや接客の目配りは、既存の路線バスにはない素晴らしいものでした。現状ではサービスそのものを知らない人も多く、まだまだこれから。バス・タクシーと競合を避けるため改善策は限られますが、まずは広く知ってもらいたいと考えます。

 mobiであればスポンサーの獲得(病院やパチンコ店とのタイアップで乗降場所を確保し、その利用者は乗車無料とするなどの事例あり)、社用車移動を削減したい法人との契約取得、大阪メトロであれば地域のコミュニティを利用した講習会での利用者獲得など、これまでのオンデマンド交通の運営で積み上げてきた実績を活かすことも期待されます。

【了】

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Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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