貨物船でも中は“家”並み 世界初の電動タンカー「あさひ」登場 海の働き方に革命?
操船室はさしずめゲーム部屋?
まず操船室にはゲーミングチェアのような椅子が置かれ、そこでバッテリー状況や推進器の状況、船内外のカメラ映像などを一元的にモニターできます。
アジマススラスターやサイドスラスターといった離着岸をサポートするシステムは、個別に操作装置も設けられているものの、基本的には“ジョイスティック”1本ですべて動かせるため、それだけで操船は可能です。加えて、小回り性能なども大幅に向上しているといいます。
操船室の下は船員室ですが、上からそこまで吹き抜けになっており、壁面にはおよそ貨物船とは思えない木製の大型書棚が据え付けられています。船員室には木製のテーブルとチェア、そしてキッチンが置かれ、まるでワンルームマンションのリビングのようでした。
「内燃機関ではないので船内がブルブル震えていないでしょう。きわめて静かで、まさに『家』です」。旭タンカーの澤田さんはこう話します。
隣接する機関室にも入りましたが、やはりエンジンがないので広々。「機関室といえば、“うるさい・狭い・熱い”ですが、ここは“静か・広い・涼しい”なんです」と澤田さん。
その機関室には、重油で動く発電機が備わります。これは繁忙期に長時間、充電拠点へ戻れない場合や非常時などに、船の動力を補うためのものですが、動力用のバッテリーも2系統あることから、バッテリーと発電機のハイブリッド的運用も考えられるということでした。
ちなみに、これら船の推進システムは川崎重工業が手がけています。「欧州の方が電気推進船の技術は進んでいますが、運用を考慮し、あえてこの船はオールジャパンで建造しています。何かあった場合に時差なく日本のなかで対応できるもの強み」(澤田さん)ということでした。
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