幻の法執行機関「琉球海上保安庁」とは 本土復帰前の沖縄で存続わずか8か月

沖縄周辺海域「波高し」

 第十一管区海上保安本部は、開設当初こそ人員約300名、船艇2隻、航空機2機ときわめて小所帯であったものの、着々と組織の拡充が図られていき、現在では定員約1700人、船艇45隻、航空機15機までになっています。

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復帰直後の1972年8月、地域巡回診療に従事するため、沖縄県八重山諸島の黒島沖に停泊する海上保安庁のだいおう型巡視船(画像:沖縄県公文書館)。

 2021年度時点の海上保安庁定員は約1万4400人、船艇約440隻、航空機約80機であることから、単純計算の場合、第十一管区は人員数において全体の11.8%、船艇は10%、航空機では18.75%の割合を占めることになります。その数は11ある管区海上保安本部のなかで人員、装備ともに最大の規模を誇るほどです。

 これはいうまでもなく、その海域が広大であることと、中国や台湾が管理する海域に隣接する日本最西端のエリアを担当していること、そしてそのなかには中国や台湾が領有権を主張する尖閣諸島が含まれているからにほかなりません。

 今後も、第十一管区海上保安本部の役割は増えることはあっても減ることはないでしょう。振り返ってみると、琉球海上保安庁とは、いうなれば本土の海上保安庁を設置するための橋渡し的組織であり、わずか半年あまりしか存在しなかったものの、その意義は大きかったといえるでしょう。

【了】

【レア写真】琉球海上保安庁が使った巡視船&現代の沖縄配備巡視船ほか

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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