アメリカも!? 現実味帯びる「無人機空母」=「なんでも空母化」? 海軍の戦い方一変か

UAS(無人航空機システム)を空母や強襲揚陸艦の艦載機にする――それが現実に近づきつつあります。アメリカのメーカーもSTOL性能を持つ艦載機型無人機を進めており、海兵隊の在り方を一変させる可能性を有しています。

アメリカ海兵隊の戦い方を変える「無人機」

 ロシアとウクライナの戦いにおいても主力兵器となっているUAS(無人航空機システム)が、さらに進化しそうです。2022年5月10日、アメリカの無人航空機メーカーGA-ASI(ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ)が、同社の「MQ-9B」に短距離離着陸(STOL)性能を与えるためのアップグレードキットを開発していると明らかにしました。

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強襲揚陸艦から発艦する艦載機型MQ-9BのイメージCG(画像:GA-ASI)。

 MQ-9BはMQ-1「プレデター」の発展改良型で、イギリス空軍や台湾空軍に採用されているほか、海上保安庁も海洋監視型の「シーガーディアン」の導入を決定しています。この無人機は離着陸時に3,500フィート(約1067m)の滑走を必要としますが、GA-ASIは数時間の作業で主翼と尾翼を交換することにより、離着陸に必要な滑走距離を1000フィート(約304.8m)以下に短縮できると述べています。

 この発表が行われた5月10日は、アメリカのワシントンD.Cでアメリカ海兵隊を主な対象とする展示会「モダン・デイ・マリーン」が開幕しており、MQ-9BのSTOLキットもセールスのメインターゲットをアメリカ海兵隊に定めているものと考えられます。

 アメリカ海兵隊は戦車部隊の全廃や、AH-1Z戦闘ヘリコプター部隊の削減などを進める一方で、対艦ミサイルなどの長射程打撃兵器やUASなどの導入により、これまでの“敵に占領された土地を逆上陸作戦によって奪回する”部隊から、敵に占領される前に島嶼部などへ展開して、“敵の占領を阻止する”部隊への転換を図っています。

 アメリカ海兵隊が事前展開を想定する島嶼部などには必ずしも整備された飛行場があるわけではなく、急造した短い滑走路でもMQ-9Bの運用が可能となるSTOLキットは、アメリカ海兵隊にとって魅力的なアイデアであると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

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