硫黄島に次ぐ「訓練の島」に? 鹿児島「馬毛島」とは 防衛省がゼロから開発するメリット
圧倒的な近さがメリットの馬毛島
そういったなか、より本土に近く、使い勝手に優れた無人島として白羽の矢が立ったのが鹿児島から南へ約100km、種子島から西へ約10kmの位置に浮かぶ「馬毛島」です。防衛省は、訓練施設が少ない南西諸島における自衛隊の活動拠点兼訓練施設として、この小島を活用しようと動き出しています。
そもそも馬毛島とは鹿児島県西之表市の行政区で、種子島や屋久島などから構成される大隈諸島の一部です。面積は8.20平方キロメートルと硫黄島の約3分の1程度の大きさですが、起伏の少ない比較的平坦な地形で、硫黄島の航空施設だけをもってきたかのような土地になっています。
この島の定住記録は江戸時代にまで遡りますが、1944(昭和19)年の戦時中、一時的に無人島になりました。その後、住民が戻り1951(昭和26)年頃から馬毛島の開拓事業が行われたものの、水源に乏しく農業に適さない土地であること、害虫や鹿害が多く、まともな生活基盤を確保することができないという理由から、1980(昭和55)年には最後の島民が馬毛島を離れ、再び無人島化しています。
過去には、様々な企業による土地の買収や不正経理による汚職事件の舞台になるなど、多くの問題が発生した馬毛島ですが、最終的には防衛省が取得を進め、硫黄島に替わる訓練施設の建設を進めることになりそうです。
「陸の孤島」とは、近隣の地域と陸続きでありながら、交通の便が悪くてアクセスが困難な地域に用いる表現なので、硫黄島には当てはまらないかと。
敢えて似たような表現を用いるなら「絶海の孤島」ではないでしょうか?