昔の“除雪”どうやってた? 現存唯一のSL排雪列車「キマロキ」編成 冬のヒーローだった記憶

宗谷本線名寄駅近くに展示保存されている鉄道車両「キマロキ」編成は、北海道をはじめ雪国の鉄道を陰で支えた立役者といわれています。連結されている4の車両の頭文字をそれぞれ取った名前で、キは機関車のキ。どのような列車だったのでしょうか。

スピードはわずか10km/h 汽笛や手旗を頼りに

 では、実際の排雪作業はどのように行われていたのでしょうか。線路の除雪はラッセル車で雪を両側に押しのけるのが一般的ですが、豪雪地帯ではそれを続けていくうちに線路の両側に雪がたまって高い雪壁となり、ラッセル車では対応できなくなってしまいます。そこで、排雪列車「キマロキ」編成の出番です。

「キマロキ」に出動指令が出されると、機関士と保線区員ら数十人が手分けして乗り組み、排雪区間へ向かいます。先頭の機関車にけん引されたマックレー車が“逆八の字”形に広げた翼で白い雪の壁をぐいぐい突き崩して雪をかき込み、続くロータリー車が大きな羽を高速回転させながら雪を遠くにはね飛ばし、それを後部の機関車が後押しします。

 合図は汽笛や係員の手旗が頼り。全員の呼吸が合わなければ立ち往生するという難作業です。しかも時速も10km/hほどと低速だったこともあり、1回の作業で1週間から10日ほどかかっていました。低速の理由は、速度が速いと雪壁を崩すマックレー車にかかる負荷が大きくなり、また集められた雪がロータリー車の排雪能力を超えてしまうためです。

 とはいえ、当時は冬の道路の除雪が行われていなかったり、そもそも自動車も少なかったりしたため、生活の足は鉄道に頼っている時代でした。それだけに、この偉大な機械力に鉄道関係者はもちろんのこと、沿線住民も信頼を寄せていたといいます。

 しかし、DD14形やDD15形などの除雪用ディーゼル機関車が登場すると、次第にSL排雪列車の出動機会は減少。SL牽引の営業列車が廃止(無煙化)された後も、ディーゼル機関車の能力を超える豪雪時には出動する場面もあったそうですが、時代の移り変わりとともに、やがて引退を迎えます。

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「キマロキ」編成の内訳(須田浩司撮影)。

 いま名寄で展示されている「キマロキ」編成は、国鉄当局から当時の排雪編成のまま貸与されたものです。1976(昭和51)年10月から名寄公園の高台で展示保存されましたが、1989(平成元)年4月のJR名寄本線廃止後に跡地を含めた地区の博物館建設計画が進められ、1993(平成5)年6月、現在の場所へ移設。すぐ近くを走る宗谷本線の列車内からも見られるようになりました。

【残っているのが奇跡?】「キマロキ」編成の細部 写真で見る

【鉄道特集】往年の名車、活躍中のエース どんな車両? 国鉄時代の思い出も

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