他県も追随する? 奈良の県民割“GoTo並み”に独自拡大のワケ 先駆けて全国対象に

狙うは「修学旅行以来、きてない人」

 全国で行われている「県民割」は、6月末にも期限を迎えます。観光庁が実施する「県民割」地域観光事業支援事業は文字通り都道府県に限定した需要創出でした。政府は段階的な拡大の方向性は示していますが、具体的な日程は明らかになっていません。

 奈良県は全額県費を使って、全国展開を準備しました。「県民割」のエリアを他県に拡大する場合、実施する都道府県が対象とするエリアの同意を求めることになっていますが、7月1日からの「2022プラス」では「他県の同意を求めない」(荒井知事)でスタートすることになりました。現状、近畿圏では京都府のように奈良県民を対象としないキャンペーンも実施されているなか、コントラストが際立つ形です。

「奈良県は同意を求められて同意しなかったことはない。しかし、相手方が奈良県には適用しないということに対して、しろよという立場にない。国の方針として相互同意しろよということはなかった。各県にお任せで、おおらかな県と多少限定しようという県があるというだけの話」(荒井知事)

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荒井正吾知事(中島みなみ撮影)。

 新型コロナの行動制限以前は、県内の利用者は県外に目を向けて、県外の利用者は一度奈良県を訪れたら、なかなかリピーターになってくれない、というジレンマが奈良県にはありました。県民限定、全国拡大の2つの県民割で、この悩みを解消したい。荒井知事は話します。

「どこからも来られますよ、ということになると、なじみの利用者だけなく、新しい初めて奈良に来られる人、修学旅行以来、来ておられない年配の人にもこの際、来ていただきたいという願いが入っている。県民割が全国割になるのは必然だと思う」

【了】

【全国スタンダードになるかも】県外利用者も対象の「いまなら。キャンペーン2022プラス」 画像で見る

Writer: 中島みなみ(記者)

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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