JALはなぜ“ボーイング一強”になったのか 近年の「脱・ボーイング」は半世紀前の再現?

ボーイング一強にエアバス社旅客機が入り込めた背景

 それ以前に727を運用していた実績もあるでしょうが、747の規格外の容量は日本の市場とマッチ。以降JALは、一気にボーイング社との連携を強めることになります。ただ、もちろん、ダグラス社との提携が終わったわけではなく、1980年代までDC-8はバリバリの主力機のひとつでしたし、747導入後も、中型中距離ジェット機としてDC-10・MD-11を採用しています。

 一方、国内線のライバル会社の地方路線向け旅客機では、TDA(東亜国内航空。その後のJAS、現JAL の一部)がDC-9/MD-80系列、ANAが737などを国内線仕様機として導入しましたが、JALは、もう少し大きなボーイング767を採用。これは当時運輸大臣からの伝達によりJALは国際線と国内幹線、ANA は国内幹線とローカル線、TDAが地方路線を担当するという「45/47体制」が定められていたことも影響しているでしょう。

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JALのボーイング747-100(画像:JAL)。

 そのようなJALがエアバス社との関係を持ち始めたのは、2003年にJASを実質吸収したことから始まります。TDA/JASでは、ダグラス社のDC-9/MD80系統のほか、中型機としてエアバス社のA300を導入しました。一説には、エアバス社の購入費用における優遇措置があったと言われています。この元JASのA300がJALに継承されることとなったのです。

 また2013年には、同社が出資するLCC(格安航空会社)のジェットスター・ジャパンが運航をスタート。同社の使用機材はエアバス社のA320で統一されていました。当時のJAL本体がエアバス製の機体を導入したわけではなく、そういった動向も見られなかったものの、実は徐々にその外堀が埋まりつつあったのかもしれません。

 JALとして初めてイチから導入することになったA350に関しては、性能やキャパシティといったスペックが、これまで国内・国際線の大型主力機であったボーイング777の後継機として適任だったというのが、もっとも広く報じられている理由です。

 近年の動向を見るに、JALの航空機メーカー選定の傾向は、かつてダグラス社中心からボーイング社中心に変わったように、また移り変わりつつある時期なのかもしれません。今回ももちろん、各機材の単純性能だけでなく、サポート体制などを含めた総合的な判断のなかでベストなものが選ばれていることでしょう。

【了】

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Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)

成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。

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コメント

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1件のコメント

  1. で!
    何が言いたいのか意味不明。
    取材したのか?