「マスク外せない」職業ドライバー襲う熱中症リスク 猛暑でも外すことを許さない“圧力”
匿名の厳しい目が圧力になる?
暑さに慣れる「暑熱順化」が進まない状態ほどリスクは高くなります。今年5月、6月に全国の小中学校、高校のスポーツ時に発生した熱中症が疑われる救急搬送は、暑さ指数でいえば20~26で、そのほとんどが注意レベルでしたが、症状はマスク着用で起きたと報道されています。
熱中症と見られる救急搬送は年間5~7万人、その多くが「梅雨明け直後の7月後半に多い」(環境省環境安全室)というので、今すぐの対策が必要です。
振り返って、物流、旅客など交通インフラに携わる人向けのマスク着用が変わらないのはなぜでしょうか。ある契約配達員はこう話します。
「対面でマスクをしていなければアウト。運転中でも〇〇(ドライバー名)はマスクをしていない、と苦情が入ったら個人的に注意。それが何度も続いたら、委託契約が打ち切られるほどの問題になりかねない」
前出の厚労省労働衛生課は、熱中症予防対策の観点から、職業ドライバーなどのマスク着用について、こう話します。
「まずは日常生活と同じように車内でもエアコンを使い予防してもらうこと。屋外では会話の有無に関わらず、目安2mの距離が確保できていれば、マスクの必要はありません。もちろん車内に運転者だけでも同じです」
熱中症による死亡者は、2018年から2021年までの3年連続で1000人を超えています。その約80%は65歳以上ですが、高齢者に限定されたことではありません。公衆衛生向上のために地域保健対策を担当する厚労省地域保健室も「会話のないシーンや、人のいないところで、わざわざマスクをする必要はない。感染症対策に重点を置いているが、熱中症対策も大事。そのための行動もしていただきたい」と、言います。
しかし実際は、郵便配達や白バイでもマスクを着用している警察官を見かけるほど、マスクは外せない状況です。社会の受容と共感が求められています。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
テレビのコメンテーターさんたちにお願いしよう「オミクロンよりも熱中症のほうが怖い」と毎日10回以上電波で発言してくれ、と。
番組を見た人から順に(心配の矛先を)変化させるように誘導してゆくしか無いだろう。