『トップガン』ではF-14のライバル「世界一有名なミグ戦闘機」MiG-28の謎

MiG-28のベース機の出自

 F-5E/F「タイガーII」の原型F-5A/B「フリーダムファイター」は、そもそもアメリカが同盟国へ供与することを目的に開発した機体で、その改良発展型が「タイガーII」になります。そのため、F-5シリーズはF-4「ファントムII」やF-16「ファイティング・ファルコン」のように、アメリカ空・海軍に大量配備されることはありませんでした。

 しかし、超音速飛行が可能で堅牢、かつ操縦が容易なだけでなく、メンテナンスも楽で運用コストも安い戦闘機でした。また、F-5A/B「フリーダムファイター」の原型となったT-38「タロン」練習機は、アメリカ空軍で大量に使用されていたことから、空軍や海軍が「フリーダムファイター」と「タイガーII」を運用するのに大きな障害はないというメリットを有しており、結果、どちらも補助的任務で用いるのには最適だったのです。

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F-4J「ファントムII」戦闘機と編隊飛行するアメリカ海軍のF-5E「タイガーII」戦闘機(画像:アメリカ海軍)。

 このような理由から、敵機をシミュレートするVFC-13所属のF-5E/F「タイガーII」が、MiG-28として『トップガン』にも「出演」することになったのです。

 架空のソ連機という位置付けでしたが、『トップガン』という作品の主旨を考えれば、まさにぴったりの配役であり、結果としてF-5E/F「タイガーII」は「世界一有名なミグ戦闘機」となることができたのでした。

【了】

【ソ連機の特徴を捉えてる?】様々な“珍塗装”が施されたF-5戦闘機たち

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Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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コメント

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2件のコメント

  1. エリア88を読んでいればタイガー2とか、ミグ21とか懐かしさを感じる。

  2. 個人的には、世界一有名なのはMig21だと思っていた