日本も飛行OKに 軽量スポーツ機「LSA」の課題 国の通達ほぼ形だけ? “後進国”抜け出せず

飛べるようになっただけ、矛盾点も

 一方、日本の状況をみると今回の通達改正は、LSAが飛べるようになったとはいえ、研究開発用航空機等(実験機)の試験飛行許可などの内容変更にとどまり、新たな免許制度は含まれていません。新しい通達では、実験機がアメリカ規格(ASTM制定)のLSA要件を満たしたメーカー製完成機に限り、2地点間の飛行を許可しています。

 加えて、2地点間の操縦には自家用操縦士以上の資格が必要になりますが、管制空域の飛行は認められていません。これでは実験機の延長としてLSAの飛行が可能になるだけで、とても実用機として運航できるような制度ではないといえるでしょう。

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アメリカ製LSAの水陸両用機ICON A5。炭素繊維複合材製のエアフレームに100馬力エンジンを装備し最大速度は176km/h。主翼は折り畳みが可能で、陸上ではトレーラーで自宅や水辺に移動することも可能(画像:ICON Aircraft)。

 特に問題なのは、海外では実用機として飛行している機種が、日本国内では実験機扱い同然となってしまうことや、管制空域においては外国籍のLSAだけが飛行可能になっていうることなど、法的整合性の面で大きな矛盾を抱えている点です。

 たとえば国産ジェット旅客機として開発されていた三菱MRJ(現・MSJ)は、耐空証明を持たない初号機が管制塔のある比較的大きな空港で初飛行しましたが、それとは逆にすでに諸外国では運航実績があるLSAが、その空港へ着陸できないという不合理さを持っているのです。これを当局はどう説明するのでしょうか。

 こうした現状をみると、日本が航空の分野で完全に後進国へ脱落してしまった現実を認めざるを得ません。

 2022年8月現在、日本はBASA(航空安全に関する相互承認協定)の締結に向け、アメリカやカナダ、ヨーロッパ諸国など、主要先進国と話し合いを行っていると発表されています。

 これは、航空分野の相互認証を進めていくもので、もし合意できれば機体の安全基準から操縦者の免許基準など、航空法制度の広範囲にわたる分野で互いに認め合えるようになります。つまり、航空法の国際標準化です。

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コメント

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3件のコメント

  1. 人口密度による飛行禁止エリアの設定が必要かと
    人のいないエリアの広大な米加と同じには不可
    逆に飛行エリアの芸邸の方が楽か

  2. いつのまにか日本は航空機を作ると言うカルチャーがなくなってしまったんでしょうか。
    日本では大企業であるXX重工と言う会社でしか航空機を製作されていないので、いつのまにか、航空機の製作は大企業であると言う文化になってしまいました。ヨーロッパやアメリカでは20名そこそこの会社で航空機を作っています。
    そのような航空機を0から作るカルチャーを持つ国と、翻訳行政に徹している日本では根本から異なっていると思います。
    そこをなんとか打破したいのですが、、、、

  3. というか、機体重量僅か600kg,塔乗員せいぜい二人くらいのウルトラライトよりはマシってレベルの飛行機の持つ実用性って何よ。ペイロードもほとんど無さそうだし、せいぜい金持ちの玩具止まりなんじゃ?タイヤ4つ付いててもバイクと同程度の実用性しかないホンダのS660みたいなもんでしょ。しかも免許取得が簡単てことはレベルの低いパイロットが量産される可能性もあるわけで、これで事故でも多発したら政府は金持ちの玩具を優遇して国民を危険に晒したとか手のひらクルーするんじゃないの?