“100年乗っても大丈夫”になるか? F-15「イーグル」初飛行から50年 ご長寿のワケ
「ストライクイーグル」に加え「イーグルII」まで誕生
ただ、F-15は高性能ではあるものの非常に高価で、制空戦闘機型のF-15C「イーグル」を導入したのは、アメリカ以外には日本とイスラエル、サウジアラビアの3か国のみ。戦闘爆撃機型のF-15E「ストライクイーグル」でも採用国はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアに加えて、韓国、シンガポール、カタールぐらいです。
調達価格や維持整備コストという観点でいうと、どうしても小型で汎用性の高いF-16「ファイティング・ファルコン」やF/A-18「ホーネット」(スーパーホーネット含む)の方が優れているため、その点ではF-15は分が悪かったと言えるでしょう。
加えて、今後は当のアメリカ自身が友好国に対してはステルス性を備えた新型のF-35「ライトニングII」の方を積極的に各国に売り込むでしょうから、F-15もどこまで採用国が増えるかは不透明です。
ただ、F-15Cの後継機として誕生したF-22「ラプター」が、高性能ゆえの高コストから生産数が約190機に留まり、また情報漏洩の懸念などもあったため母国アメリカから輸出されることなく終わっています。しかも、F-22と同じく第5世代戦闘機として開発されたF-35Aの調達も遅れているため、アメリカ空軍は冒頭に記したようにF-15Eを発展させた複座型のF-15EX「イーグルII」を導入することで、戦力の低下を防ぐつもりです。
そのような動きから推察するに、もしかするとベテラン爆撃機B-52とステルス爆撃機B-2の関係のように、F-15も度重なる改良によって、ひょっとしたら100年飛び続ける機体になるかもしれません。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
同じ個体が100年飛ぶことはないだろうが、飛行特性に優れた機体なので、維持しておきたいね。