“100年乗っても大丈夫”になるか? F-15「イーグル」初飛行から50年 ご長寿のワケ
航空自衛隊も運用するF-15「イーグル」戦闘機が初飛行からちょうど50年の節目を迎えました。なぜそれほどご長寿なのか。その秘訣は「元の設計がよかったから」もありますが、アメリカの置かれた状況も関係しています。
余裕ある機体サイズと大出力エンジンが名機の証
マクドネル・ダグラス(現ボーイング)が開発したF-15「イーグル」が初飛行したのは、今からちょうど50年前、1972(昭和47)年7月27日のこと。軽量な機体に大きな主翼、それに2基のターボファン・エンジンを組み合わせることで、当時最強とも言える圧倒的な格闘戦能力を実現した制空戦闘機として生まれました。
生産数はシリーズ合わせて計1500機以上。日本でも三菱重工業が航空自衛隊向けにF-15Jの名称でライセンス生産を行っていました。
アメリカ空軍はF-15について「敵の防衛網を突破し、現在のあらゆる敵機を凌駕し、打ち負かすことができる」戦闘機と評価しており、その設計の優秀さは、最新モデルのF-15EX「イーグルII」がボーイングで開発され、2021年3月からアメリカ空軍に納入が始まっていることからも伺えます。
F-15の開発が進められた当時は冷戦の真っ只中。ソ連を中心とした東側諸国との緊張が続いており、ミグ設計局が開発したMiG-23やMiG-25といった当時最新鋭の戦闘機や、ツポレフ設計局が生み出したTu-95といった戦略爆撃機に対抗できる機体が求められていました。
こうした状況でF-15は、搭載されたエンジンの推力を生かしたマッハ2を超える高速性と高い加速性能に加えて、良好な旋回能力を兼ね備えた戦闘機として開発されます。ハードポイント(兵装搭載箇所)には空対空ミサイルを最大8発まで取り付けることができ、自動化された火器管制システムを装備。パイロットはヘッドアップディスプレイのほか、エンジンスロットルや操縦桿にあるアビオニクスと武器の制御装置を使用して、安全かつ効果的に空中戦を行うことができます。
加えて、長時間の作戦に耐えられるよう航続距離は長く、大容量の落下型増槽を装着すれば4630km以上、密着型増槽(CFT:コンフォーマル燃料タンク)なら5750km以上の飛行が可能です。加えて機体自体が大柄であることから拡張性も高く、アビオニクスからエンジン、計器パネルまで最新のものにアップデートできる発展性も持ち合わせていました。
同じ個体が100年飛ぶことはないだろうが、飛行特性に優れた機体なので、維持しておきたいね。