「部材多すぎて大変!」どう対策? 首都高の「ハイテク橋梁点検」 迎え撃つ“大劣化時代”

日進月歩の技術で「温故知新」に奮闘

 荒川湾岸橋の両側には、国道357号の荒川河口橋が架かっています。こちらはアーチ状の箱桁で、橋脚と橋脚の間隔が長く、何よりもトラス状ではないため部材が少なくシンプルな構造なのが目を引きます。また近年の長大橋の主流は、内部のワイヤーで引張補強した巨大な「PCコンクリート桁」を使用する構造で、とにかく部材が少ないのが特徴です。

 一方、首都高の荒川湾岸橋の建設当時はまだ橋梁の建設技術が発達しておらず、広い荒川河口を跨ぐには部材の多いトラス構造を採用するしかありませんでした。そのメンテナンスや点検の大変さが、今になって重くのしかかっているのが実情です。

 しかしそれを、今度は最新技術によってカバーしようとしています。構造物の全データベース化などのDXを進め、さらに通信容量が増大し、タブレットなどの端末がより小型・高性能になり、容易に入手しやすくなった現在になって、ようやく夢物語から脱却できたといえます。

 古いものを新しいもので守っていく――。人口減少時代にあって、土木の現場では少しずつ、マンパワーで何とかしてきた点検管理の手法が、次の時代へと移行しつつあります。保全・交通部 点検・補修推進課の増井 隆課長は「各方面と連携し、今後もさらなる効果的な点検・補修の技術開発や導入を進めていきたいです」と話しました。

 傷んできた荒川湾岸橋などインフラをどう補修していくかについては、首都高は「技術検討委員会」を開いて検討中。2022年内に取りまとめて、方針を決定するとしています。

【了】

【最新機器による「荒川湾岸橋」の点検の様子】

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