「日英共同開発の次期戦闘機」日本にとっては茨の道? 英国との「圧倒的経験の差」は埋まるのか
イギリスの航空史が物語る共同開発の難しさ
現在、イギリス空軍・ドイツ空軍の主力戦闘機である「タイフーン」も、もともとイギリスと旧西ドイツ、フランスが目指した新戦闘機ECA(European Combat Aircraft)として立ち上がったものの、1981年3月に計画とん挫。その後計画名を幾度か変え、最終的にイギリスはドイツ・イタリア・スペインと共同で「タイフーン」を、フランスは単独で「ラファール」をそれぞれ開発しました。
共同開発は一般的に技術を持ち合い、開発費も出し合うことで一国あたりの負担は減ります。しかし、運用要求や開発スケジュールがまとまらなかったり、出来上がった機体の性能に満足するか否かがあったりして、開発が空中分解する危険性もあります。
2022年7月、電子機器メーカーのレオナルドUKと三菱電機は、次期戦闘機と「テンペスト」用の新電子センサー・システムの開発へ向けて、作業分担などで合意し次の段階へ進むと発表しました。同月イギリスは、ベン・ウォーレス国防大臣が5年以内に「テンペスト」の技術立証機を飛ばすと発表しました。日本が2016年、ステルス機開発に向けてX-2を飛ばしたようにです。また、装備品を早く決めてほしいと、日本の商社がイギリス側からせかされているという話も聞きます。
日英共同開発へ向けて進む次期戦闘機は、イギリスのロールス・ロイスと日本のIHIが共同で開発するという新エンジンを搭載する予定で、この開発が機体自体の開発スケジュールと同時で進むのか、という点もポイントです。また、次期戦闘機は輸出も目指すことになるようですが、日本は海外への兵器セールスの経験はまだ少なく、ノウハウもあるイギリスとどう歩調を合わせるのか、といった点も課題でしょう。日本にとっては初めてとなるイギリスとの次期戦闘機開発、我が国がどう乗り切るかは、これからも注目を集めることになりそうです。
【了】
Writer: 清水次郎(航空ライター)
飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。
今の日本人が忘れてる
埋められるのか?じゃない
埋めなきゃいけないのよ、後世に残すために
それが今を生きる日本人の責務だろ