台湾なぜフランス製戦闘機を? 互換性なき戦闘機が共存する事情 戦闘機の1世代差は乗り手の腕次第で何とかなる!?
今後は国産ドローンという考えも
戦闘機としての1世代の性能差は、かなりの範囲をパイロットの腕でカバーできるとされているので、パイロットさえ優れていれば、第4世代戦闘機といえども、第5世代戦闘機に一方的にやられるわけではありません。
この点、台湾空軍のパイロットの練度の高さは世界でも定評があるので、現時点では、台湾空軍は中国空軍に対して圧倒的に不利、という状況までには至っていないと思われます。しかし戦闘機の絶対数で、台湾空軍は中国空軍に劣っているのが現実です。
最近、アメリカは台湾にF-16Vを供給することにしましたが、本土領空の防衛とシー・レーンの維持という、台湾空軍が果たすべきもっとも重要なふたつの任務に対応するためには、やはり絶対機数が足りません。
そういったなか、現在、台湾ではドローンの開発や運用が急ピッチで進められています。一部メディアの報道によると、台湾の蔡英文総統がドローンの独自開発と増強に踏み切ろうとしているとも言われています。また、それに関連する情報として、ロシアのウクライナ侵攻におけるドローンの有用性を鑑みて、中国の台湾侵攻を想定し、新たなドローンの研究開発拠点を近々開設するということも報じられていました。
台湾空軍がパイロットの練度で中国空軍より優れているといっても、やはり限界があります。日本と同様に侵攻よりも専守防衛を目的としている台湾軍にとって、ドローンは有人機の不足を補う最有力の兵器となることは間違いないといえるでしょう。
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Writer: 白石 光(戦史研究家)
東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。
生産国、開発国の異なる機体や、同一目的でも互換性のない異なる機体を、配備するのは生産国や開発国と関係が悪化して部品の供給が止められて、飛行不能な機体がでたり、一機種のみの配備で、その機体に構造的欠陥等が発見されて、全機飛行不能に陥るのを防いだり、導入時に競争させてなるだけ良い条件で契約をむすぶための実績作りだったりする。あと、同じ開発国、メーカーでも機種が異なれば、整備方法、道具、部品が異なる場合も多いので、実際の運用を考えたら、同じ開発国やメーカーに拘る必要性は低いと思うけど。
台湾の防衛に必要なのは、AWACSのような警戒管制機では?第4世代機と第5世代機の差を埋めるのは、パイロット個人の力量より俯瞰して戦域を把握出来る能力でしょう。
中共機のステルス能力が、対地上レーダーなのか対敵戦闘機なのかを考えることは必要です。しかしどちらにしても高空からレーダー哨戒を行う警戒管制機が、現時点の第5世代機の弱点であるのはほぼ確定でしょう。むしろ警戒管制機が無ければ、第5世代機が敵を自力で発見するのは困難です。
台湾が、フランス製導入したのは、一ヶ国に頼ると部品の供給がとか懸念してではなく、米国がF-16を供与せず、ダウングレードのF-16/79を提案してきたりでしたので、やむ得ず、国産の経国やミラージュを導入したという面が大きいですね。
フランスと米国では、フライトスーツからヘルメット、搭載兵器まで全く異なるので、整備や補給面でマイナスの方が大きいです。
あと台湾は、早期警戒機としてE-2Cの台湾向けバージョンであるE-2Tを導入してます。
台湾のフランス製導入はラファイエット級フリゲートに続いて二例目か?