まるでラドン! アブロ「バルカン」爆撃機が初飛行-1952.8.30 紛争では大西洋縦断爆撃も

「ヴィクター」11機の支援で往復約1万2000kmを飛行

 のちにイギリスが国防戦略の方針転換を図り、核戦力の主軸を潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)に置き換えたことから、維持運用コストのかかる大型戦略爆撃機3機種は退役または運用形態の変更が図られます。「ヴァリアント」は全機退役、「ヴィクター」は空中給油機や写真偵察機に転用されましたが、「バルカン」は戦術爆撃機に役割が変わっただけで、引き続き爆撃機として運用が継続されました(一部の機体は空中給油機へ転用)。

 そういったなか、1982(昭和57)年に起きたフォークランド紛争で「ヴァルカン」は、爆撃機としての本来任務である長距離爆撃任務に就きます。「ブラック・バック」と呼ばれたこの作戦は、南大西洋の中央にあるイギリス領アセンション島から長駆約6300kmを飛行し、フォークランド諸島に展開するアルゼンチン軍を攻撃し、戻ってくるという壮大なものでした。

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イギリス空軍のアブロ「バルカン」爆撃機(画像:アメリカ国防総省)。

 往復約1万3000kmを飛行する「バルカン」爆撃機1機(ほかに予備機1機)をサポートするために「ヴィクター」空中給油機11機が用意されましたが、こうした大掛かりな支援により7回行われた作戦中、5回の爆撃任務を成功させています。

 その後、後継となる「トーネード」攻撃機や新型の「トライスター」空中給油機の充足に伴い、「バルカン」は1984(昭和59)年3月に全機退役しました。

 ただ、前出したような実績から、退役後もイギリス各地に約30機が保存展示されており、うち2機は地上滑走可能な状態で維持されているそうです。

【了】

【3Vボマー揃い踏み】「ヴァリアント」&「ヴィクター」を見る

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