撮り鉄が原因? “開かず”になった広電の踏切に物議 なぜ電車の停車中に閉まり続けたのか

なぜ停車する電車の前で踏切は閉まり続けたのか

 ところで、踏切はなぜ閉まり続けたのでしょうか。電車が駅に停車中で、発車まで時間があるならば、開けてもよさそうです。今回の対応は「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」に根拠があります。

 同省令第62条の踏切に関する規定には「踏切保安設備は、踏切道通行人等及び列車等の運転の安全が図られるよう、踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができ、かつ、踏切道の通行を遮断することができるものでなければならない」とあり、踏切が閉まるタイミングについても定められています。内容は以下の通りです。

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川崎市内のJR南武線 向河原駅近くでは「賢い踏切」の導入が予定されている(画像:JR東日本 横浜支社)。

「遮断動作の終了から列車等の到達までの時間は、20秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、15秒以上であること」

 つまり広島電鉄の電車も通常、踏切が閉まってから最短15秒後には通過するわけです。ただし駅の至近に踏切がある場合は、この秒数は長めに設定されます。

 理由は最悪のケース、「オーバーラン」を想定しているため。万一列車が駅で止まり切れなかった場合、停車を前提にした時間設定では踏切は閉まっておらず、横断者などとの衝突事故が起きかねません。その意味では、今回の件において踏切設備は通常通り動作したといえます。

 しかし交通量の多い都市部では、この動作が交通渋滞を招くことも多々あります。近年は「賢い踏切」に代表されるように、踏切を通過する列車の種別を判断し、例えば駅に停車する普通列車ならば通過直前まで踏切を開けるといったシステムを組むなど、対策がなされています。

【了】

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