「路線バス」が変わっていく 地域まるごと廃止 別の交通に転換 鉄道と手を組む… 進む再編

〈パターン3〉路線バスの「予約制」への転換、けっこう人気?

「決まったルートを決まった時間に運行」という路線バスの形態を予約制(デマンド)に変更し、利用者の呼び出しに応じAI(人工知能)が最適なルートを弾き出して運行する「AIデマンドバス化」の波も進んでいます。

●市内バス路線を一気にデマンド化!
島鉄バス(長崎県)島原市内6路線:2021年10月、「たしろ号」に転換
庄内交通・平田るんるんバスなど(山形県)酒田市内5路線:2022年8月、「酒田市デマンドタクシー」に転換
アルピコ交通バス(長野県)茅野市内13路線;2022年10月、「のらざあ号」に転換
さとバス(千葉県)富里市内2路線:2022年10月、新デマンド交通に転換

 予約状況によって最適なルートで運行するという「AIデマンドタクシー」なら、バス停の有無にかかわらず乗降できるスポットを増やすことができます。例えば茅野市では、「のらざあ号」への転換で、乗降スポットの数が既存バス停を含め1000か所以上と大幅に増加し、自宅から乗降場所への距離も軒並み近くなります。一方で課題としては、予約システムが使えない高齢者や、定時運行を求める声への対応などがあり、この解決のために転換が数か月遅れたようなケースも見られます。

 なお上記で挙げた4地区は、路線ごとではなくエリアごと、街ごとの大幅なデマンドバス転換の事例です。バス運行の拠点となっていた酒田庄交バスターミナルや島鉄バスターミナル(島鉄バス)の閉鎖などが影響しているケースもあります。

 ただ各地とも、市外への路線はおおむね維持されています。また庄内交通のエリアでも、隣接する鶴岡市では湯野浜温泉などに向かう観光路線がそれなりの成績を上げており、拠点となる「エスモールバスターミナル」も2017年に全面改修を行ったばかり。市もバス路線の活性化に積極的で、酒田市とは対照的に今後の運行は維持されそうです。

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茅野駅前で発車を待つアルピコ交通のバス。茅野市内の路線の多くが廃止となるものの、このバスを含め観光路線は存続(宮武和多哉撮影)。

●予約制タクシーが乗客激増、バス廃止の引き金に?
南山城村営バス(京都府)高山大河原線:2022年4月、「村タク」へ転換

 京都府南山城村では、前年にサービスを開始した予約制タクシー「村タク」の利用者が村営バスの3~4倍にのぼり、早期にバス廃止、村タク転換の決断が下されました。

 この「村タク」は予約が必要であるものの、村内移動なら1人あたり300円と手頃で、何より1系統しかない路線バスより乗降場所がはるかに多く、利用者の反応も上々。現在では東隣の笠置町も「村タク」参画に興味を示しており、今後の状況次第では周辺自治体を含めた広域の路線バス再編に発展するかもしれません。

【了】

【こちらも再編?】消えゆく昭和のバスターミナル(写真)

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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