バスターミナル建設ラッシュはナゼ? 官/民/地元の思惑が交錯 使いづら~い施設の量産はNO!

運行に制約がかかるのはゴメンだ!

 施設を設計する上での課題もあります。高層ビルの中に、例えばホテルを設ける場合、先にホテルの運営会社を決定し、細かい設計はその会社が主に担います。片や、バスターミナルの運営会社が決まるのは、一般的に、基本的な設計が終わった後です。

 ただ、乗り入れ路線の構成、例えば「短距離の自由席路線(待機列が必要)/中長距離の座席指定路線(ベンチの数が重要)」や「始発便/経由便」の比率によって、必要な施設は異なります。人手やITをフル活用し最大の便数をさばく必要があるのか、便数が少なく低コストを追求するかで、車両管制や旅客案内の機器も違います。

 バスターミナルには「企画→設計→意匠(内装デザイン)→サイン計画」をシームレスに繋ぐ工夫が求められています。避けてほしいのは、バスタ新宿の模倣です。バスタ新宿には欠点もたくさんありますし、高頻度で発着する自由席路線の比率が小さい点が、他の多くの案件との違いです。それぞれの案件に合った設計を、設計者と一緒に考えたいのです。

 他方、一つの地区に複数のターミナルが併存することを認めないという意見も聞きます。高速バス停留所を集約できると、わかりやすいことは確かです。しかし、多数の便を集約すると施設は巨大化し、乗客はそのなかで長い距離を歩かされることになります。バスの出入りが集中すれば、周辺に渋滞も起こります。そして、バスタ新宿のように発着便数に制約がかかってしまいます。

Large 220906 busta 03

拡大画像

「バスタ新宿」は交通結節点全体の愛称で、その4階にあるバスターミナルの正式名称は「新宿高速バスターミナル」。一部の掲示物には、その略称である「SEBT」のロゴも使われる(成定竜一撮影)。

 1か所に集約するより、分散を認めつつ、名称を「北/南」とか「第1/第2」という風に連続的なものにするなど、案内方法を工夫する方が現実的です。

 このような課題はあっても、バスターミナルの新規開業は歓迎すべき話です。特に東京都心部の発着枠は常に不足し、関係者は調整に苦心してきました。しかし、相次ぐ開発計画のおかげで、2030年頃には東京(山手線内)の高速バス発着枠に余裕が生まれ始めそうです。

この記事の画像をもっと見る(4枚)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

4件のコメント

  1. この先バス🚍️は伸びないと思う。菅のカーボンニュートラルで鉄道で代替可能な路線(東京~鹿島神宮など)は国の調整(事実上の廃止強制)でなくなる😉

  2. 2016年から高速バスの輸送人員が伸びなくなったのは2016年初頭のバス事故とそれに続く規制強化が最大の要因では?
    バスタ新宿に原因があるかのような印象操作をしている記事だし眉に唾を付けて読んだ方がよいと思います

    • 筆者は「無関係ではない」と言ってるだけですよ。
      その下のグラフにも要因は①地方の人口減少②乗務員不足に続いて3番目に挙げています

    • そのグラフの資料は筆者が作ったものですからね。
      私も結論ありきだと思います。