西九州新幹線 成功のカギは「駅前駐車場」に? クルマと“共存”する新幹線 地域どう便利に
高速バスで根付いた「パーク&ライド」 西九州新幹線でも
このように九州地方では鉄道だけでなく、高速バス・都市間バスの事業者も駐車場の整備や乗り継ぎ割引の適用に積極的です。その背景には「近隣の地方都市ならともかく、(道が広く交通量も多い)博多・天神では運転したくない」というユーザーの指向があり、鉄道・バスとも要望に応えるかたちで、クルマとの共存による利用を伸ばしてきました。
では、新たに開業する西九州新幹線 武雄温泉~長崎間はどうでしょうか。
新規開業駅のひとつ新大村駅は、在来線との接続もありますが、クルマでの利用者獲得に向けて270台の駐車場を整備、また月極利用者向けの駐車場も整備されます。そして駅の西側には彼杵(そのぎ)・諫早などへ通じる国道34号があり、駅の至近を通り国道のバイパス的役割を担う片側2車線の「大村外環状線」も2022年3月に全通したばかり。
大村市はこれまで国道の慢性的渋滞に悩まされてきましたが、このバイパスで新幹線駅へのアクセスや市南北の移動はかなり改善されそうです。ちなみに新大村駅の近くには、1000台以上の駐車場を擁する長崎空港もあり、九州外に移動する人にとって選択肢が広がりそうです。
もうひとつの新規開業駅、嬉野温泉駅にも200台以上の無料駐車場が整備されます。これまで嬉野市には鉄道がなく、高速バスが停車する嬉野温泉バスセンターなどが玄関口となっていましたが、新しい新幹線駅は駐車場と「道の駅 うれしのまるく」(駅開業とともにオープン)も併設され、路線バスも乗り入れ予定。新幹線駅の周辺エリアを交通の一大拠点として位置付けていくようです。
立地的にも、西九州道の武雄南ICが近く、佐世保市内までも30分ほど。また東隣には新幹線の開業によって特急列車の激減に見舞われる鹿島市があり、嬉野温泉駅は将来的に、鹿島市のクルマユーザーの玄関口となる可能性もあります。ただ今回の部分開業の段階では、嬉野温泉駅から6分走行すると、武雄温泉で博多方面行き在来線特急への“対面乗り換え”が必要に。武雄温泉駅でも駐車場の増設が予定されていることもあり、嬉野温泉駅が実力を発揮するのは、もう少し先になるかもしれません。
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