防衛予算は結局いくらに? 膨大すぎて値段も調達数も出せない? 概算要求と別建の大風呂敷が

財源どうなる? 丁寧な説明を!

 防衛省はロシアのウクライナ侵略を力による現状の変更であると断言し、ヨーロッパで起こっていることはアジア太平洋でも起こりうるとの認識を示しています。また、ロシアのウクライナ侵略でも想起した物理戦闘とサイバー戦、情報戦などが入り混じったハイブリッド戦などへの対応や、将来の技術革新、少子高齢化を含む人口動態への対応なども喫緊の課題であるとも述べています。

 こうした状況を考慮すれば、防衛費の大幅な増額はやむを得ないことだと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。しかしその一方で、日本経済は低迷を続けており、給与が上がらない状態で物価の上昇のみが続く「スタグフレーション」への突入も懸念されるなど、国民の生活は苦しさを増しています。

 9月17日付の時事通信は政府・与党が大幅に増額される防衛費の財源として、法人税や金融所得課税、たばこ税の増税を検討していると報じています。また所得税や相続税の増税、あるいは国債の発行で防衛費を賄うべきとの意見もあるようです。

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ウクライナにも供与された徘徊型弾薬(自爆型ドローン)の「スイッチブレード」。防衛省は「無人アセット防衛能力」強化の一環として徘徊型弾薬の調達も計画している(竹内 修撮影)。

 経済が好調でなく、国民生活が苦しい中での増税は、防衛力の強化が必要であると考える人々にとっても、容易に受け入れられるものではないと筆者は思います。また未来への「ツケ」である国債の発行にも根強い反対意見があります。

 このような状況下で、それでも政府が防衛力の強化が必要であり、そのための負担を国民に対して求めるのであれば、防衛予算の透明性の向上と、丁寧な説明が不可欠だと筆者は思います。

【了】

【いろいろ必要!】概算要求に明記された取得装備を画像で見る

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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1件のコメント

  1. 国債は将来世代へのツケなどではありませんよ。
    あくまで政府の日銀に対する債務であり、国民の債務では有りえません。

    未だに財務省(その背後にいる米国)の洗脳工作に乘ぜられているとは。

    国債は通貨とイコールであり、政府内部のやり取りによって成り立つ無制限の発行及び強制通用力を持つ、国家の権能そのもの。

    従って政府発行通貨である国債は無限に借り換えが可能な存在であり、国民の債務には成りえません。