デカすぎて困る? 海上自衛隊「イージス・システム搭載艦」の“ドックどうすんの”問題

護衛艦の建造を行える民間企業は2社のみ

 まず、日本で水上戦闘艦艇の新造が行えるのは、JMU(ジャパンマリンユナイテッド)と三菱重工業グループだけとなります。基本的に建造した造船所が修繕も担うことになりますが、配備先の関係から近場のヤードに入ることも多いです。両者ともイージス艦の建造と修繕を行った経験があるため、「イージス・システム搭載艦」を受け入れることは可能でしょう。

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JMU磯子工場のドック。護衛艦「いずも」が入渠しているのが見える(深水千翔撮影)。

 JMUで艦船の修繕を行っているのは横浜事業所(磯子工場・鶴見工場)、舞鶴事業所、呉事業所、そして因島事業所です。このうち舞鶴事業所と鶴見工場のドックはスペックが足りず、「イージス・システム搭載艦」を入渠させることはできません。

 そのため、長さ210m、幅40mという大型の艦船を受け入れられるのは磯子工場、呉事業所、因島事業所の3か所となります。磯子工場では近年、「まや」と「はぐろ」を建造するだけでなく、横須賀基地を拠点とする「きりしま」の修繕も手掛けていることから、実績としては十分です。

 もうひとつは三菱重工グループですが、神戸造船所は潜水艦を専門としており、下関造船所と三菱重工マリタイムシステムズ(旧三井E&S造船玉野艦船工場)は修繕ドックの規模が足りないため、同社で「イージス・システム搭載艦」の入渠を受け入れられるのは、イージス艦の新造実績がある長崎造船所と修繕専門ヤードの横浜製作所の2か所になります。

【写真】入れるサイズだけど入れない東京湾内の造船所ドックほか

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