関越道や東北道「使われていないバス停だらけ」のナゼ 東名や中央道はフル稼働なのに

むしろ途中バス停に「停まってはいけない」? 国の判断

 この動きは、「クローズドドア・システム」と呼ばれるものです。当時、バス事業者は地域単位で独占的に国から事業免許を得ていたので、国鉄バスなどの例外を除くと、別のバス事業者のエリアに路線を引くことは認められていませんでした。しかし、高速道路の延伸が相次ぎ高速バス路線も長距離化すると、別の事業者のエリアを通過せざるをえません。

そこで、高速道路上を、停車せずに、つまり「ドアを閉めて」通過するだけなら、他の事業者のエリアに足を踏み入れているわけではない、という風に、運輸省(当時)が判断したのです。1980年代半ばのことでした。

 結果として、起点と終点それぞれの地域で路線バスを運行している会社どうしの共同運行なら、高速バス路線の新設が認められるようになりました。そこで、この時期以降に全通した東北道や関越道では、途中停留所に止まらない路線が主流となりました。

 たとえば1985(昭和60)年、関越道全通の直後に開業した池袋~新潟線は、新潟県内では小まめに停車するものの、群馬県以南では本線停留所を通過するダイヤが組まれました。そのため、埼玉県、群馬県内は「管理用施設」だらけです。

規制撤廃でもやはり「停まらない」ワケ

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東名松田バス停付近を走るJRバス(成定竜一撮影)。

 今日では、そのような事業エリアの制約はなくなりました。それなら、せっかく停留所用の施設があるのだから、停車すればいいではないかと思われるかもしれません。しかし、高速バス事業者としては、停車することで生まれる課題もあるのです。

 最大の課題は、高速バスは座席定員を超えて乗車できないため、短区間のみの乗車があると、長距離の乗客を断るケースが出てくることです。たとえば東京~名古屋間の路線で、東京駅から東名向ヶ丘(川崎市)だけの利用があった場合、向ヶ丘以西において、その座席は使用されない可能性が高まります。バス事業者としては、数千円の運賃収入を見込める座席を、数百円で販売してしまうことになります。

 また、渋滞の際に迂回運行が難しくなるとか、事故などで高速道路が通行止めになった際に途中停留所で待っている乗客に連絡を取るのが難しいといった課題もあります。

【地図】こんなにある!? 関越道&東北道の使われていないバス停

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