古い卒業写真から奇跡の発見 巨大“木造掩体壕” 田んぼに点在する異様な構造物のナゾ

高知空港近くの田園地帯に、掩体壕(えんたいごう)が点在しています。これは戦後77年を経過しても今なお残る戦争中の遺物です。どうしてこの地に造られたのか、それとともに新たに写真で確認された木造格納庫についても見てみます。

最近確認、新種「W型」掩体壕って?

 高知海軍航空隊は1944(昭和19)年3月に創設された部隊で、多座機搭乗員の教育部隊として、機上作業練習機「白菊」をメイン機種として運用していました。本機は九〇式機上作業練習機の後継機として1942(昭和17)年に制式化された5人乗りの単発機で、艦上攻撃機や艦上爆撃機、陸上攻撃機などに搭乗した操縦士以外の航法士や通信士、爆撃手や機銃手などの教育用として導入されたものでした。

 練習機のため、安定性や操縦性が良好な反面、最大速度は230km/h程度しか出ませんでした。しかし、鈍重な機体にも関わらず、戦局が悪化した1945(昭和20)年5月には特攻機への転用が行われ、高知海軍航空隊からも徳島海軍航空隊の「白菊」と共に沖縄戦へ出撃しています。そして5月27日には15機出撃して未帰還11機の犠牲を払いながら、アメリカ駆逐艦「ドレクスラー」を撃沈する戦果も挙げています。おそらく現存する6基の掩体壕はこの白菊用で、大型の掩体壕は一式陸上攻撃機のような双発機用だったと思われます。

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高知県南国市にある前浜掩体壕群の中でも面白い例である7号掩体壕。これは戦後、後部の壁を打ち抜いて道路と水路を通している(吉川和篤撮影)。

 ところで、先に述べた「W型」掩体壕、これは最近その存在が確認された掩体壕です。戦後の1945(昭和20)年もしくは翌年に、高等小学校(現在でいう中学校)の卒業生を撮影した記念写真に、木造の掩体壕が写っていたことから発見されたのです。木製は、終戦直後こそ日本各地に存在していたものの、丈夫なコンクリート製と違って壊しやすいので、現存しておらず、記録もほとんど残っていません。そのため、これは貴重な発見と言えるでしょう。

 高知県南国市ではこの前浜掩体壕群を文化財に指定しており、同市の教育委員会では7基の掩体壕を解説したパンフレットを発行しています。高知を訪ねる機会があれば現地の遺構を見ながら、当時の掩体壕建設や高知海軍航空隊について思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

【了】

【一式陸上攻撃機入れたイメージも】現存しない木造掩体壕を捉えた貴重な写真ほか

Writer:

1964年、香川県生まれ。イタリアやドイツ、日本の兵器や戦史研究を行い、軍事雑誌や模型雑誌で連載を行う。イラストも描き、自著の表紙や挿絵も製作。著書に「九七式中戦車写真集」や「イタリアの中戦車・重戦車写真集 」、「イタリア軍写真集」など。

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