特急消えて観光列車がやってきた 「ふたつ星4047」賑わう地域に感じた戸惑いと温度差

「ふたつ星4047」これからの課題

 運行開始から1か月が経過した2022年10月現在も、「ふたつ星4047」は乗車率が高止まりし、なかなか良い席がとれない状態が続いています。車内では「リゾートしらかみ」「伊予灘ものがたり」「奥出雲おろち号」など日本各地の列車に乗車したという人も多く、今のところ“観光列車慣れ”した人が多い印象です。

 乗務するスタッフもいまはかなり忙しいようで、車内ラウンジ売店の行列もなかなか途切れない様子でしたが、「客足が落ち着いたらツアー客が増えるのではないか」とも話してくれました。個人でゆっくり「ふたつ星」の旅をしたい人は、今のうちに乗車したほうが良いかもしれません。

 ただ、駅での観光客の歓迎や特産品・グルメの出店は佐賀県側に集中しています。長崎県側の事象としては、千綿駅での停車と2号車ラウンジで行われる波佐見焼の体験(予約のみ)はあるものの、景色を楽しむ以外の大きなイベントが取り立ててなかったのは気がかりです。新幹線のルートから離れ、特急の運行が激減した佐賀県側との温度差を感じないでもありませんが、運行日ごとに80人以上もの旅慣れた人々がホームに溢れるというチャンスをみすみす見逃すのも、もったいない気はします。

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大村線の千綿駅。大村湾の海岸線に近い(宮武和多哉撮影)。

「ふたつ星」沿線はこのほか、長崎本線沿いには小長井など有明海沿岸のカキ小屋や、蟹の水揚げ港として有名で港全体が火山火口のカルデラ跡という世界的に珍しい景観を持つ竹崎港、大村線沿いには早岐(はいき)駅や南風崎(はえのさき)駅の鉄道遺産など、多くの観光資源があります。もう少し停車時間が増えれば、こうした観光資源への送り込みに「ふたつ星」を使うこともできるかもしれません。

【了】

【地図】「ふたつ星」の運行ルート/各駅の熱烈歓迎!(写真)

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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