細かすぎ? 高速バス「愛称」の分かりづらさ 淘汰の動きも “昭和ネーム”じゃ負ける

かくしてウィラーは「ピンクのバス」になった

 高速バスは、首都圏~京阪神を中心にとして、同じ区間を多数の会社が競合するようになりました。さらに「楽天トラベル」などの予約サイトが登場すると、「バスを比較して予約する」市場になっていきます。高速ツアーバスに参入した中小旅行会社らは認知度が低く、「まずはウェブ上で選んでもらう」、次に「自社のブランドを覚えてもらい、次回も使ってもらう」ために、企業としてのブランドを印象付けることに注力しました。

 その中で、西日本ツアーズ(当時)は、当初「シティライナー」や「J-EXPRESS」を都市間商品のブランドとしていましたが、2006(平成18)年、会社名とブランドを一気に「WILLER」に変更。車両やウェブサイトを印象的なピンク色で統一し、ブランド力を強化しました。

「色」をキーとするブランド化は他社でも見られます。神姫観光は、高速バスのブランドを、「レモン」を想起させる「LIMON」に変更するとともに、車両の外観から座席までレモン色に揃えた車両をデビューさせました。乗客は、サービスエリアでの休憩の際、バスに戻ってくるために車両の色を必ず記憶します。多数の事業者が激しく競り合う首都圏~京阪神路線では、「覚えてもらう」ことがブランド化の第一歩なのです。

 さらに、個室に近い上級座席や女性向け座席など車両グレードが多様化すると、「VIPライナーのグランシア」のように、企業ブランド+グレードで呼ばれるようになります。「トヨタのクラウン」と同じ構成です。

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神姫観光の高速バス「LIMON」。黄色の車体でシートも黄色(画像:神姫観光)。

 このような状況に、既存事業者も対抗せざるを得ません。ジェイアールバス関東、西日本ジェイアールバスらは、長距離夜行路線を「〇〇ドリーム〇〇号」、長距離昼行路線を「〇〇昼特急〇〇号」という風にシリーズ化する傾向へ。〇〇の部分に、地名や車両グレードを入れることで、「ドリーム/昼特急」ブランドを前面に打ち出したのです。往年の「ハーバーライト号」も、今では「グランドリーム横浜号」になりました。

 同時に、80年代の黎明期のような抒情的な名称は減り、「地名+エクスプレス」など機能的でシンプルな名称も増えています。

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コメント

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1件のコメント

  1. >高速バスマーケティング研究所

    何それ、知らねー。
    研究所にしたら、内容が薄っぺらい感じがしました。