不採用からの復活劇 戦闘機F/A-18「ホーネット」初飛行-1978.11.18 二大メーカーの法廷闘争の行方は?

6年も続いた法廷闘争の結末は?

 元々、F/A-18の生産ではマクダネル・ダグラスとノースロップが半分ずつ担当していましたが、艦載機の主契約社と最終組立はマクダネル・ダグラスが担っており、ノースロップは原型機を開発したとはいえ、得られる利益は少なく抑えられていました。そこで、ノースロップは自社が主導権を握れる仕事として、この陸上型を開発することを決めます。

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HC-130Jと並んで飛ぶアメリカ海兵隊のF/A-18C「ホーネット」(画像:アメリカ海軍)。

 この陸上型はモデル名「F-18L」と呼ばれ、カナダやギリシャ、スペインなどに売り込みが掛けられました。しかし結局、どの国も具体的な契約を結ぶことはありませんでした。さらに、不調な海外セールスからの焦りからか、ノースロップはマクダネル・ダグラスのF/A-18が輸出の障害になると考え、1979(昭和54)年には同社に訴訟を起こす自体にまで発展したのです。

 この時の詳しい経緯は諸説ありますが、約6年の歳月を経て最終的にはマクダネル・ダグラスが約5000万ドルを支払って和解。その後、F/A-18の生産でも引き続きノースロップは下請け企業として部品の生産を担いましたが、陸上型F-18Lの海外セールスは不発に終わり、和解の時点で開発も打ち切られています。

 法廷闘争にまで発展したF/A-18ですが、その後の生産と開発は順調に継続されていきます。1987(昭和62)年からは性能が向上したC/D型の生産がスタート。裁判での和解によって海外セールスも堂々とできるようになったため、オーストラリア、カナダ、フィンランド、マレーシアなどへ輸出され、その総生産数は1480機にも膨らんでいます。

 初飛行から40年以上が経ち、後継機であるF/A-18E/F「スーパーホーネット」が開発されたこともあって、現在は退役が進んでその数を減らしています。なお、一番のユーザーであったアメリカ海軍の空母からは2018年を最後に姿を消し、現在は一部の支援部隊でのみの運用となっていることから、「NAVY」と機体に入ったF/A-18「ホーネット」が現役で空を飛ぶのもあと少しなのかもしれません。

【了】

【被弾したワケじゃないよ!】フレアを放出するF/A-18「ホーネット」ほか

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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