大都市だけでない「開かずの踏切」解消へ12年ぶり始動 ことでんの踏切の紆余曲折
線路がダメなら道路を上げれば…
行政も本町踏切の問題から目を逸らしていたわけではありません。1998(平成10)年、香川県は市内中心部の踏切28か所を除去する琴電連続立体交差事業に着手。同事業は、高松築港~瓦町間の線路を高架化するというものでした。
しかし、事業費が約340億円という大型事業だったこともあり、スムーズに計画が進みません。線路は高架化される予定だったので、琴電(当時)は同事業に合わせて高松築港駅をJR高松駅の近くに移転させることも計画。両社の乗り換えの便が向上することも期待されていました。
ただ遅々として高架化は進みません。さらに2001(平成13)年に琴電が破綻。これにより事業は暗礁に乗り上げ2010(平成22)年に計画が中止、2022年3月には正式に廃止されました。
しかし行政も踏切の問題を放置するわけにはいきません。香川県・高松市・ことでんの3者は協議を行い、とりわけ本町踏切は渋滞が慢性化しており事故の危険性も高いことから、こちらの対応策から検討が始められています。
現段階では線路ではなく道路を高架化することで踏切の除却を目指すようです。県が1994(平成6)年に策定した「高松環状道路」という高架道路の一部を本町踏切まで延長。高松空港などとも直結させようというものです。2022年10月には県知事が国土交通大臣へ、調査委員会開催の要望書を提出しました。
具体的な話はこれから詰めることになりますが、膠着状態に陥っていた「開かずの踏切解消策」が再び動き出したといえそうです。
【了】
Writer: 小川裕夫(フリーランスライター・カメラマン)
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。官邸で実施される首相会見には、唯一のフリーランスカメラマンとしても参加。著書『踏切天国』(秀和システム)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)、『東京王』(ぶんか社)、『私鉄特急の謎』(イースト新書Q)など。
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