日本の戦闘機採用で起きた「奇跡の大逆転劇」 米の推薦機を退けた空自トップの言葉とは

2022年のサッカーW杯カタール大会の第1戦で、強敵ドイツに鮮やかな逆転勝利を収めた日本。同じような大逆転の採用劇が60年以上前、航空自衛隊の次期戦闘機選定でもあったとか。大どんでん返しはどう進んだのか振り返ります。

米国防総省の横やりが元凶?

 航空自衛隊の調査団は、高度約1万6000mまで約8分前後で上昇し、最大上昇限度は約1万8000mで、最大速度はマッハ2以上、戦闘行動半径は約350km以上という数値を次期戦闘機のひとつの性能指針として打ち出していました。

 これに該当するのは、前出のF-104「スターファイター」以外に、ノースアメリカンF-100「スーパーセイバー」、ノースロップN-156F(後のF-5)、コンベアF-102「デルタダガー」の4機種。本来ならこの中から選定されるものですが、なんとアメリカ国防総省からの紹介で、審査対象外だったF11Fの改良発展型であるグラマンG-98J-11が急遽、審査対象に含まれることになったのです。

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大西洋岸沖に展開中のアメリカ海軍空母「フォレスタル」甲板にF11F-1「タイガー」戦闘機。1956年4月4日撮影(画像:アメリカ海軍)

 その結果、1958年4月に選定されたのは、アメリカ国防総省が推したグラマンG-98J-11でした。理由は、配備直後だったアメリカ空軍のF-104に事故や小さなトラブルが頻発したことや、同機は滑走距離が長く3000m級の滑走路を必要としたことなどでした。

 こうして一度はグラマンG-98J-11に決まりますが、同年8月の衆議院決算委員会で、採用に際して不正があったのではと問題提起され、1959年に再調査することが決定。選定は先延ばしされることになります。

 結局、「黒い霧」が解明されることはありませんでしたが、これを受けて航空自衛隊トップで、太平洋戦争前にはアクロバット飛行の妙技から「源田サーカス」として知られた源田 実航空幕僚長(当時)を団長とする調査団が再びアメリカへ足を運び、改めて調査にあたりました。このとき、彼が発した「乗ってみなければわからない」という一言は、パイロットとしての長いキャリアと実績を重ねてきたベテランにしか言えない、含蓄深い言葉とされています。

 こうして再調査の結果、グラマン社側が「日本の要望に合わせた内容を盛り込める」と豪語していた「設計図だけの幽霊戦闘機」ことG-98J-11は退けられ、改めてF-104「スターファイター」の採用が決まりました。

【写真】キモとなった「J79エンジン」&編隊飛行する空自F-104戦闘機

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