消えた元祖ステルス機「ハブ・ブルー」のミステリー アメリカの最高機密 砂漠のどこかに残骸が?

世界初のステルス戦闘機といわれるのはアメリカ空軍のF-117「ナイトホーク」ですが、同機の実験機として造られた「ハブ・ブルー」こそ、元祖ステルス機かもしれません。当時のアメリカの機密中の機密、写真も少なく実機も残っていません。

ステルス実験機の開発元は有名設計チーム

 1977(昭和52)年12月1日はロッキード社(現ロッキード・マーチン)の技術実証機「ハブ・ブルー」が初飛行した日です。

 レーダーで捉えにくくなる、いわゆるステルス技術は、21世紀の現在、軍用機の世界では定番となりつつあり、日本も第5世代戦闘機としてアメリカ製のF-35A「ライトニングII」を導入・運用しています。しかし、1970年代はそれを実現するための技術が開発中の段階でした。そして、この「ハブ・ブルー」はステルス機が技術的に実現可能かどうかを試すための機体だったのです。

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実験機「ハブ・ブルー」の全体写真。外見はF-117「ナイトホーク」と似ているが、コックピット内の人の大きさと比べると、機体が小さいのがわかる(画像:アメリカ空軍)。

 開発を担当したのは、ロッキード社の先進開発部門「スカンク・ワークス」です。ここはU-2戦略偵察機やSR-71超音速偵察機などを開発したほか、近年では映画『トップガン マーヴェリック』に登場した架空機「ダークスター」の技術考証も担当している名門部署です。

「ハブ・ブルー」の外見は、後に開発された世界初の実用ステルス戦闘機F-117「ナイトホーク」を小型化したような形をしており、機体の形状は非常によく似ています。機体の形は曲線ではなく平面を組み合わせた角張ったデザインとなっており、その外見は一般的な航空機のイメージとはかけ離れたものでした。

 この形は機体に照射された電波を特定方向に乱反射させるためのものであり、ゆえに「ハブ・ブルー」は航空工学ではなく、レーダー工学に基づいてデザインされた最初の航空機とも言われています。実際にどの程度レーダーから見えにくくなるのかは極秘扱いのため不明ですが、技術者はコンピュータープログラムによるシミュレーション結果から「(レーダー反射断面積は)鷹の眼球くらい」とコメントしたと言われています。

 しかし、その外見は当時、開発プロジェクトに携わっていた関係者から不評だったようで、全体が菱形かつ多面体で構成されたデザインから「ホープレス・ダイヤモンド(希望の無いダイヤモンド)」という悲観的なニックネームが付けられたほどでした。

【機密解除された?】ステルス戦闘機F-117のコックピットほか

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コメント

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2件のコメント

  1. F-117は、「戦闘機」識別になってるけど、実際には、「攻撃機(爆撃機)」としての能力しかなかったんだよね。

    • 実戦で搭載したことはないが、サイドワインダーの搭載予定そのものはあったらしい。